ベトナムでは最近、中南部のビンディン省で計画される製油所・石油化学コンプレックス(複合施設)建設プロジェクトが中止されたほか、クアンガイ省で製油所を運営する公社が製油所の株式化を検討するなどの情報が伝わっている。
ビンディン省は7月末、ニョンホイ経済特別区の製油所・石化コンプレックス建設計画を中止した。7月23日付のサイト『ビズバブ』などによると、このプロジェクトは、精製能力で日量40万バレルの製油所を建設する計画で、今年中に着工し、2021年の運転開始を目指していたという。
ニョンホイでの施設工事にかかわる総投資額について、事業参加するタイ国営のPTTが当初、290億ドル(2013年時点)と見積もっていたが、企業化調査(FS)後に220億ドルに下方修正した。プロジェクトの権益は、PTTとサウジアラビア国営のサウジアラムコが各40%、残り20%をベトナム企業が保有するとされていた。
他方、ベトナム財務省は、製油所の運営をサポートするため、原油輸入税を減額する方向で検討に入った。6月7日付のサイト『ベトナム・ネット』などによると、財務省はクアンガイ省にあるズンクワット製油所を運営するビンソン石油精製・化学公社(BSR)に対し、原油輸入税額を現行の20%から10%に減らすことを提案したという。経営状況が悪化する中、この提案どおりになれば、BSRは資金難から抜け出すことができると、楽観視されているそうだ。ちなみに、BSRはベトナム国営ペトロベトナムの100%子会社である。
これに加え、ロシアや中東地域の石油企業との間で、BSRがズンクワット製油所の株式化を検討しているとの情報が伝わった。6月23日付のサイト『ベトナム・エコノミック・タイムズ』などによると、BSRは製油所の拡張工事と、株式化交渉を並行して進めている。ズンクワット製油所の拡張工事については昨年、BSRが18億ドル2,000万ドルを投資し、精製能力を現行の日量13万バレルから2021年までに同17万バレルまで引き上げる条件で、ベトナム政府から承認を得ている。