武装勢力による石油関連施設への攻撃で供給に支障をきたすなど、治安が悪化するナイジェリア情勢。こうした状況下、中国企業の同国進出の動きが目立っている。複数の中国企業がエネルギー関連で800億ドルに及ぶ投資で覚書(MOU)を締結したなどの情報が伝わっている。

ナイジェリア国営NNPCの首脳は6月末、複数の中国企業とエネルギー分野で、総額800億ドルの投資に関する覚書(MOU)を締結した。6月30日付のサイト『オール・アフリカ』などによると、プロジェクトに参加する中国企業は、パイプライン、製油所、発電所などの建設に投資する見通しという。ナイジェリアでは7月初旬現在、国内4製油所で、武装勢力によるエネルギー施設などへの攻撃を受けて、生産活動が停止に追い込まれ、国内需要の8割に及ぶ燃料を輸入する事態となっている。

このほか、中国勢のナイジェリア進出については、香港ブルーミング・ファイツ・ペトロリアムがこのほど、ナイジェリア政府と共同で製油所(精製能力は日量20万バレル)を建設・運営する計画をまとめたという。7月4日付のサイト『ヴァンガード』などが報じた。それによると、外資系企業によるナイジェリアでの石油・天然ガス事業への直接投資を促進する計画に沿ったもので、国産原油の処理を実施することになるとしている。

ところで、ナイジェリアの武装勢力NDAは6月3日、バイエルサ州でイタリア炭化水素公社(ENI)と、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルがそれぞれ当地で運営する原油パイプラインを爆破したとの犯行声明を出した。この攻撃で、両社とも生産停止に追い込まれた。NDAによるエネルギー施設の破壊行為は、供給減少につながるとの思惑から国際石油市場で買い材料視された。6月8日付のサイト『サハラ・レポーターズ』などによると、NDAはその後、米シェブロンがニジェールデルタで操業する油井を破壊した。NDAはシェブロンの即時撤退と、地方におけるNDAの権益拡大を要求したとされる。

その後、NNPCは6月27日、NDAの攻撃で被害を受けた石油関連施設を修復し、年初に日量220万バレルだった原油生産量が、日量160万バレルまで落ち込んだ後、190万バレル程度まで回復してきたとの見方を示した。ただ、7月に入り、再びNDAの攻撃が始まったとの情報もあり、混沌とした状況に変化ないようだ。