サウジアラビア政府は今年4月末、「脱石油依存に方向転換する」と内外にアピールした。国営サウジアラムコは、サウジの石油化学会社のSABICと共同で「原油から石油製品へ」政策に取り組む姿勢を強調している。他方、サウジはアジアや中国、欧州といった国々・地域にも進出をさらに加速させる動きを見せている。

インドのダルメンドラ・プラダン石油相がこのほど、サウジアラビア国営のサウジアラムコが、インドでの燃料小売市場に参入する意向を示したことを明らかにした。6月4日付のサイト『エコノミック・タイムズ』などが報じた。同紙によると、インドにおける2015~16年度の国内燃料市場は前年度比で11%成長したという。

インドでは現在、インド国営石油会社(IOC)、国営バハラット石油(BPCL)、国営石油天然ガス公社のヒンダスタン石油(HPCL)3社が、国内5万カ所のサービスステーション(SS)のうち、95%を支配しているとされる。サウジアラムコのインド参入によって、国内での市場競争が激しくなることで、サービス改善や向上につなげる狙いがあるようだ。サウジアラムコは、インドの製油所や石油化学プロジェクトでの権益取得に乗り出す構えも示している。

他方、サウジアラムコは6月1日、ポーランド石油精製会社のPKNオルレンに対し、原油5万バレル(日量ベース)を供給する契約を締結したことを明らかにした。契約は毎年、自動的に更新されるとし、両社間で初めての長期契約になる。この契約締結を前に、サウジアラムコは5月1日からタンカー6隻分の原油を試験的にポーランドやリトアニア、チェコにあるPKNの製油所向けに供給を開始し、このほど、本契約に漕ぎ着けたとされる。

また、サウジアラビアの石油化学会社であるSABICは5月30日、中国国営のエネルギー鉱業会社である神華集団の子会社である神華寧夏石炭産業集団(SNCG)と、寧夏回族自治区に石油化学の大規模施設を建設することで合意したと発表した。この自治区内で産出する石炭を動力源としてSNCGに供給する見通しだ。