「原油安ショック」シリーズの続報。年初に比べ、原油価格が上向いてきたものの、各企業で大幅な人員削減が実施されるなど、エネルギー業界にとり、厳しい経営環境が続く。米国では4月、米シェール企業の破綻が相次いで報告された。

米シェブロンはこのほど、シェブロン・タイランドがタイでの事業を継続するため、2016年中に800人の人員削減を実施し、5億ドルの経費削減を計画していることが判明した。5月16日付の『ロイター通信』などが伝えた。シェブロン・タイランドは従業員2,000人、請負業者1,700人を雇用しているという。同社はタイで最大規模の石油・天然ガス企業で、同国の天然ガス需要量の約5割を供給している。

アブダビの国営石油会社(ADHOC)が2016年の年末までに、新たに5,000人規模の人員削減に踏み切るとの情報が伝わっている。すでに2,000人の人員削減は実施済みだ。現在の従業員数は5万5,000人という。5月14日付のサイト『デイリー・メール』などが報じた。

このほか、韓国の造船大手である現代重工業(IHI)が、原油価格の下落による受注減少を受けて、管理職を対象とした希望退職と、中核でない資産の売却を検討している事実が表面化している。5月9日付のサイト『オフショア・エナジー』などは、『マネー・トゥデイ』紙の記事を引用する格好で、IHIが3,000人の人員削減(全社員の10%に相当)と、8億5,500万ドル相当の自社株売却、自社保有の不動産売却などを計画していると伝えた。

4月15日には、米シェール企業のグッドリッチ・ペトロリアムが、日本の民事再生法に相当する米連邦破産法第11条(チャプターイレブン)の適用を申請した。負債総額は約5億ドルだったという。また、米シェール企業のエナジーXXIが4月14日、経営に行き詰まるなど、資金繰りが悪化した米シェール企業の破綻情報が相次いだ。

ところで、最近の原油価格は、5月26日に米原油先物相場(期近物)が日中取引で約7カ月ぶりに1バレルあたり50ドル台を付けるなど、上昇基調に転じている。