米カリフォルニア州のサンタバーバラや、英国のロンドンでこのほど、水素ステーションが新たに開設されるなど、水素燃料の普及に向けた動きが高まっている。

水素などの燃料開発を手がける米トゥルー・ゼロはこのほど、米カリフォルニア州セントラルコースト地域で初となる水素ステーションをサンタバーバラに開設した。同社はこれまで、シリコン・バレーやロサンゼルス都市圏などで、プロジェクトとしての水素ステーションを設置済みだ。この計画には、加州エネルギー委員会などが出資しているという。5月13日付のサイト『PRニュースワイヤー』などが報じた。

一方、本エネルギー・フロントライン(2016年5月10日付)で紹介したように、英国のITMパワーが積極的なビジネスを展開している。同社は3月31日、ドイツの電力会社ZEAGエナジーAGに能力1メガワット(MW)の電気分解水素製造システムを販売する契約を締結したと発表。このシステムには、電気分解装置のほか、コンプレッサー・水素充填装置なども含まれるという。出荷は2017年第1四半期を予定。このシステムは、ドイツの航空宇宙研究センター(DLR)の建屋内に設置され、ZEAGが操業にかかわる。DLRは、ドイツのケルンが本拠地だ。

ところで、ITMパワーは昨年9月10日、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルがロンドン市内で展開する販売拠点に水素ステーションを建設することについて、両社間で合意したと発表済みだ。この合意を受けて、ITMパワーは5月半ば、テディントンにある英国国立物理学研究所(NPI)に水素ステーションを開設したと発表した。同社にとり、ロンドンで初の開設となる。今年末までに電気分解による水素ステーションをさらに4カ所、ロンドン市の内外に開設する予定としている。

このほか、ノルウェーの水素インフラ会社H2ロジックが4月初旬、水素ステーション向け水素製造施設をデンマークの中央部ユラン地域に位置するヘアニングに建設する契約で合意したと発表済みだ。水素ステーション300カ所、燃料電池車(FCEV)20万台(年間ベース)に水素を供給する大規模な施設をつくる計画だ。投資総額は1,025万ドル。