米エネルギー情報局(EIA)が、原油価格の見通しなどについて、報告書を相次いで公表した。今回はその一部を取り上げた。(写真は米エネルギー省のロゴマーク)
EIA報告(5月6日付)によると、2015年に米国内で生産された原油の7割超が軽質原油(API比重で35度を上回る)であったのに対し、輸入原油の9割がAPI比重で35度を下回る重質原油であった。米国産原油は軽質化の傾向にあるとされてきたが、その兆候が一層高まってきたことが裏付けられた。2011年から14年にかけての原油生産量のうち、増産分は日量ベースで約300万バレル。このうち、90%以上がAPI比重で40度以上となった。一方で、同じ期間の輸入原油は、軽質原油が日量170万バレルから同70万バレルに減少したという。重質原油は日量400万バレルで横ばいだった。
ニューヨーク市場で取引される米国産(WTI)原油の価格動向については、年初に比べ3月以降の原油相場が上昇基調に転じたことで、価格の変動幅が縮小しているとした。EIAはまず、今年1月から2月にかけて油価が低水準で推移したため、供給・需要・在庫の見直しが不透明であったと分析。これが、価格変動幅の拡大につながったとした。ところが、3月以降、原油在庫の積み増しが鈍化の兆しを見せたことなどから、原油価格は上昇基調に転じ、価格の変動幅が落ち着くようになったとした。
他方、EIAは5月11日、「国際エネルギーアウトルック 2016」を公表した。このなかで、北海ブレント原油価格について、アジアや中東、アフリカ諸国で燃料消費量が増加すると見込まれることで、2017年は1バレルあたり76ドルまで回復するとの見通しを示した。また、2040年までに世界全体の原油類(コンデンセートなどを含む)の生産量が日量ベースで3,050万バレル増加し、世界の国内総生産(GDP)は、年率平均で3.3%増加すると予測した。
このほか、EIAは2015年の米国のエネルギーに由来する二酸化炭素(CO2)排出量が14年に比べて減少したと発表(5月9日付)。2015年は2005年と比較し、12%減少した。また、2005年から15年間のCO2排出量の減少分68%は、発電分燃料の転換によるものとした。