天然ガスのパイプライン建設計画で様々な動きが出ている。ロシアとトルコ・ギリシャ・イタリアを結ぶサザンガス・コリドー(SGC)プロジェクトで、ロシアとイタリアの協力関係が前進したほか、ロシアからバルト海経由でドイツに輸送する「ノルド・ストリームⅡ」(NSⅡ)が2019年末までに完成する見通しであることなどが報じられた。
ロシアのアレクサンダー・ノバク・エネルギー相は、同国とトルコ・ギリシャ・イタリアを結ぶサザンガス・コリドー(SGC)パイプライン計画が遅延している件について、ギリシャとイタリアの海底を通過するIGIポセイドン天然ガス・パイプラインでイタリアとの協力関係が前進しているとの見解を示した。4月15日付のサイト『ANSA』などが報じた。ロシアとトルコの外交関係が悪化する中、ロシア国営ガスプロムとイタリアの電力会社であるエディソン、ギリシャのガス公社DEPAの3社は今年2月25日、ロシアからの天然ガス供給で覚書(MOU)を締結済みだ。
一方、ガスプロムとオーストリアのOMVは、天然ガス・パイプライン計画「NSⅡ」を2019年末までに完成する計画であることを明らかにした。NSⅡの輸送能力は年間550億立方メートルという。ガスプロムは2015年9月4日、ドイツのE.ONとBASF、OMV、仏エンジーなどとNSⅡの権益保有に関する契約を交わした。4月1日付のサイト『スプートニク・インターナショナル』などが報じた。
イタリアでは、イタリア炭化水素公社(ENI)傘下のエンジニアリング会社であるサイペムが、トランス・アドリアチック・パイプライン(TAP)の海底部分における設計・調達・建設・据付(EPCI)業務を開発合弁会社から受注した。アドリア海を横断し、アルバニアとイタリアを結ぶ区間が対象としている。2016年中に作業を開始する予定だ。
ブラジルでは、建設大手のオデブレヒトが、ペルーでの天然ガス・パイプライン計画(投資規模は総額50億ドル)で、保有する権益55%の売却を検討している。売却理由について、負債削減のためとしている。4月22日付の『ロイター通信』が伝えた。
このほか、米センプラU.S.ガス&パワーは3月30日、ロッキー・エクスプレス天然ガスパイプライン(REX)の株式25%を約4億4,000万ドルでトールグラス・ディベロップメントに売却することで合意したと発表した。REXは、全長2,750キロメートル、ワイオミング州オパール、コロラド州ミーカー、オハイオ州クラリントン間を結び、輸送能力は日量5,100万立方メートルとされる。