バルト3国(リトアニア・エストニア・ラトビア)のうち、リトアニアでは2016年、ノルウェーからの天然ガスの輸入量が増加し、これまで最大だったロシアを抜く見通しだ。一方、エストニアでは、製油所の建設計画に複数の投資家が関心を示していることが判明した。(写真=中央=ロスネフチのセチン社長)
リトアニアでは、天然ガス企業のリトアニアガス供給(LDT)と窒素肥料会社のアケマが、ノルウェーのスタットオイルと液化天然ガス(LNG)の購入契約を締結したことを受けて、2016年はノルウェーからの輸入量が前年比で3倍となり、ロシアを抜いて最大となる見通しだ。サイト『マリーン・リンク』(2月8日付)などが伝えた。それによると、ノルウェーからのLNG供給量は、リトアニアの年間天然ガス消費量(20億立方メートル)の約50%になる見通しだ。
本特集記事(2016年1月22日付)で取り上げたように、天然ガスの輸入に関連し、ウクライナでもロシア離れが進んでいる。ウクライナは2015年、欧州連合(EU)からの天然ガス輸入量が計103億立方フィートとなり、対前年比で倍増した。他方、15年にウクライナがロシアから輸入した天然ガスは61億立方フィートに留まり、14年の145億立方フィートから激減したことが数字上からも鮮明となっている。
一方、エストニアでは、国営タリン港湾局が、複数の投資家と製油所の建設計画で協議している。ただ、投資家の名前は公表されていない。2月9日付のサイト『バルチック・コース』などによると、建設予定地はパルディスキ・サウス・ポートで、精製能力は年間ベースで300~600万トン。タリン港では現在、取扱量が減少傾向にあり、同港湾局は製油所建設のほか、浚渫・埠頭関連の工事も検討している。
この製油所建設の計画は、2011年から持ち上がっているという。当初、ウクライナの企業が計画に関心を示していたが、現時点で参加を撤回しているそうだ。また、製油所の建設工事はすぐに着工されるのではなく、環境アセスメント調査などの結果を踏まえ、タリン港湾局が建設の可否を総合的に判断する見通しだ。