今回は、最近の豪州におけるエネルギー開発動向などを取り上げる。豪州のフライデンバーグ財務相は11月初旬、香港のインフラ企業であるCKインフラストラクチャー(CKI)による豪州の天然ガスパイプライン会社「APAグループ」の買収計画に対し、国益に反するとし、買収計画に難色を示した。財務相は、2週間以内に最終判断を下すと述べたが、CKIとAPAはいずれもコメントを控えている。11月7日付のサイト『ミラージュ・ニュース』などが伝えた。
豪石油・天然ガス開発大手のウッドサイド・ペトロリアムが主導するノース・ウエスト・シェルフ・ジョイント・ベンチャーは11月7日、西オーストラリア州バラップ半島にあるウッドサイドの天然ガス液化施設「カラサ・ガスプラント」をブラウズ・ジョイント・ベンチャーと米シェブロンが利用することに暫定合意したと発表した。ウッドサイドとシェブロンは、Clio-Acme天然ガス田の共同開発を計画しているため、今回の暫定合意によってプロジェクトの最終投資判断(FID)に近付いたとの見方も出ているようだ。
他方、豪州公正取引委員会(ACCC)は10月初旬、国内における液化天然ガス(LNG)のネットバック価格の公表をスタートしたことを公表した。ネットバック価格は実勢価格を反映しているため、天然ガス価格の透明性を高めることにつながるという。東海岸市場での実勢を超える水準の価格上昇を抑えるとともに、天然ガスの供給量を確保するのが狙いという。ACCCは2017年、ネットバック価格に関する調査を実施。その結果、東海岸市場で天然ガス販売価格の多くが、ネットバック価格を上回る販売価格を設定していたことが判明したという。
このほか、ビクトリア(VIC)州政府が、AGLエナジーが申請中の天然ガスパイプラインと浮体式の液化天然ガス(LNG)貯蔵・再ガス(FSRU)の開発計画について環境影響評価(アセスメント)を受ける必要があるとの見方を示した。『ロイター通信』などによると、VIC州政府は、地域社会と環境保護が重要との立場を貫いているという。