今回は、ここ数カ月における中南米地域でのエネルギー開発状況を取り上げる。(画像の国旗はアルゼンチン)

チリ政府は10月末、アルゼンチンのネウケン盆地にあるヴァカ・ムエルタのシェール埋蔵層で産出された天然ガスを12年ぶりに輸入したと発表した。アルゼンチンでは、2000年代半ばに国内向けの天然ガスが供給不足となったため、主要輸出先であったチリへの輸出を停止していた。

他方、アルゼンチンの国営YPFは、2023年までにヴァカ・ムエルタのシェール埋蔵層で、石油・天然ガス生産量を5~7%増加する計画を打ち出した。サイト『マーコ・プレス』(10月30日付)などによると、YPFは年間40~50億ドルを投資するとしている。

このほか、ペルーのエネルギー鉱山省(MEM)は10月下旬、天然ガスの輸出を停止すると発表した。国内供給に振り向けるため、在庫を確保するのが目的とした。大手エネルギー開発会社であるプラスペトロールがペルー南部で展開するカミシア天然ガス田のラ・マルビナスプラントで、トラブルが発生し、生産量が落ちたことが背景にあるようだ。

コロンビアでは、国営石油会社のエコペトロールが10月30日、水圧破砕工法(フラクチャリング)による非在来型原油の探査ライセンスを同国環境ライセンス局(ANLA)に申請したことを明らかにした。フラックチャリングによる探査はコロンビアで初の試みとなる。探査する場所はマグダレナ・メディオ地域で、推定される石油埋蔵量は20億~70億バレルと見積もられている。ただ、周辺住民や環境保護団体らは、フラクチャリングの使用に反対しているため、速やかに探査作業に入れるかは不透明だ。

ところで、ブラジル国営のペトロブラスは10月半ば、同社が運営するリオ石油精製コンビナート(Comperj=精製能力は日量15万バレル)にかかわるプロジェクトの権益20%と海洋油田の資産を、中国石油天然ガス集団(CNPC)が取得することで暫定合意したと発表した。両社は今後、Comperjプロジェクトの事業化調査(FS)に乗り出すもようだ。