今回は、カナダにおける最近のエネルギー関連動向を取り上げる。まず、カナダ連邦控訴裁判所(FCA)は8月末、キンダーモーガン・カナダが計画する「トランス・マウンテン」原油パイプライン拡張プロジェクトの認可を覆す判決を下した。サイト『グローバル・ニュース』(8月30日付)などによると、FCAは判決で、この計画を認可した国家エネルギー委員会(NEB)の判断に不備があると指摘した。また、カナダ政府がトランス・マウンテン買収を発表したことに対し、カナダ先住民との協議義務を果たしていないとも付け加えたという。
カナダ第2位の石油精製会社であるインペリアル・オイルは8月28日、オイルサンド(油砂)施設のエネルギー効率を改善し、温室効果ガス(GHG)排出量を削減するため、新しい技術を取り入れる計画があると発表した。カルガリーにある同社の開発センターでこれまで、オイルサンドの回収技術について開発作業を重ねてきたという。同社は、コールド・レイクと呼ばれるプロジェクトで、2023年までにGHG排出量を16年水準と比べ10%削減することを目指す。他方、アスペン・プロジェクトではGHG排出量のほか、水の消費量の削減を図るとしている。
仏トタルは8月31日、カナダ・アルバータ州のジョスリン油砂プロジェクトで保有する権益をカナディアン・ナチュラル・リソーシズ(CNRL)に売却することで、関係先と合意したと発表した。原油価格の下落を受け、ジョスリンプロジェクトの開発は停止していたという。
他方、トランスカナダは9月13日、コースタル・ガスリンク天然ガスパイプライン計画に関連し、ブリティッシュコロンビア(BC)州内の全ルートで周辺住民らと合意し、20件の契約を結んだと発表した。このパイプラインは全長670キロメートルで、BC州北部のドーソン・クリークからキティマット港に計画する液化天然ガス(LNG)輸出ターミナルに天然ガスを輸送する。今後、主体企業がプロジェクトにかかわる最終投資判断(FID)を下す予定だ。
このほか、中国石油化工(SINOPEC)などの複合企業体(コンソ-シアム)が、カナダ・アルバータ州で予定するビチューメン製油所建設の認可取得に向け、スタンテックと合意した。サイト『エドモントン・ジャーナル』などによると、コンソーシアムは、同州エドモントン北部にビチューメン製油所(精製能力は日量16万7,000バレル)と石油化学プラントの建設を計画しているという。