今回は、政情不安の続くベネズエラのエネルギー事情を取り上げる。6月6日には、ベネズエラ国営石油会社のPDVSAが、原油輸出に関連し、フォース・マジュール(不可抗力)を宣言するとの情報が伝わった(同日付のサイト『オイル・プライス』)。それによると、PDVSAは、米シェブロン、中国石油天然ガス集団(CNPC)、印リライアンス工業(RIL)、ロシアのルクオイルなど8社に対し、6月分の原油供給が契約量を満たせないと伝えたという。パラナグアなど主要輸出港では、原油タンカーの渋滞が発生している。なお、PDVSAは、本件についてコメントを控えている。
こうした状況下、ベネズエラ政府は7月初旬、PDVSAの原油増産のため、中国国家開発銀行(CDB)から2億5,000万ドル相当の融資を受けると発表した。ちなみに、中国はこれまで原油生産目的でベネズエラに50億ドルを投資しているという。
他方、米エネルギー情報局(EIA)は6月21日、ベネズエラの国別レポートを更新し、その内容を公表した。それによると、同国の原油確認埋蔵量は3,020億バレル(2018年1月現在)で、世界第1位。オリノコベルトの重質原油の可採埋蔵量は5,130億バレルという。2017年における原油類の生産量は日量220万バレル。同年の米国向け原油・石油製品の純輸出量は前年比17%減の日量61万8,000バレルで、ピーク時(2007年)の日量110万バレルから大幅に減少した。国内精製能力は日量130万バレルで、海外に保有する製油所と合わせた総精製能力は同270万バレルだった。他方、天然ガスの確認埋蔵量は2017年現在、203兆立方フィート。16年の天然ガス生産量は日量33億立方フィート、消費量は34億立方フィートだった。
ところで、PDVSAは6月7日、カリブ海北部沿岸のファルコン州ロス・タケスに位置するアムアイ製油所の第4常圧蒸留装置(CDU)の補修工事が完了し、稼働率が100%になっていると発表した。この製油所は、パラグアナ・リファイニング・センターが運営している。