アジア歴訪を終えたトランプ米大統領。エネルギー分野で中国との商談が相次いだ。今回は、公表された案件について紹介する。
米ウエストバージニア州の商務省は11月9日、中国国営のチャイナ・エナジー・インベストメント(CEIC)と、同州で計画するシェールガス開発や電力事業などを含む大型プロジェクトに合意したと発表。投資額は総額837億ドルとされる。11月上旬に訪中したトランプ大統領と、中国の習近平国家主席が立ち会う中、覚書(MOU)の調印式が執り行われたという。CEICは、中国国営の電力会社である「中国国電集団」と国営石炭会社「中国神華集団」が合併した国営エネルギー企業である。
他方、米アラスカ州政府のアラスカ州ガスライン開発公社(AGDC)は11月9日、同州のニキスキーで計画されるアラスカLNGプロジェクトで、中国石油化工(SINOPEC)など中国企業3社と契約に合意したと発表。アジア歴訪中、トランプ大統領が中国を訪問した際に契約が締結された。米中双方は今後、LNGのマーケティングや資金調達、投資モデルの可能性を探るため、2018年までに結論を出すとしている。アラスカLNGの製造能力は、3系列で年間2,000万トン。同州最北部のノース・スロープにある天然ガスプラントと結ぶパイプライン(全長約1,287キロメートル)を建設する予定で、総投資額は400億ドルに上るとされる。プロジェクトに参加する中国の3企業は、SINOPECのほか、CICキャピタル(本社:北京)、中国銀行(BOC)だ。
また、アラスカLNGプロジェクトのほか、中国石油天然ガス集団 (CNPC)が、LNGの長期購入に関し、米シェニエール・エナジーと合意した。アラスカLNGと同様、トランプ大統領の訪中時に調印式が実施されたという。シェニエールは現在、米ルイジアナ州のサビン・パスLNGを運営するほか、メキシコ湾岸のコーパス・クリスティLNGプロジェクトを担っている。
このほか、中国国家外為管理局(SAFE)は11月9日、シルクロード基金(SRF、本部:北京市)と米ゼネラルエレクトリック(GE)の子会社であるGEエナジー・ファイナンシャル・サービシズが、アジア地域を中心とするエネルギーインフラ整備の共同投資に合意したと発表。石油・天然ガスなどのインフラ・プロジェクトに投資するとしている。