今回から2回に分け、米国におけるエネルギー事情を取り上げる。
米エネルギー省(DOE) は10月半ば、傘下の国立エネルギー技術研究所(NETL)などと共同で支援する二酸化炭素(CO2)回収プラントのCO2回収・輸送量が400万トンに達したと発表した。ブラントは、エア・プロダクツ&ケミカルズが設計し、バレロ・ポート・アーサー製油所(テキサス州)に設置されている。回収されたCO2は、原油の増進回収(EOR)に利用するとしている。
他方、米エネルギー情報局(EIA)は10月初旬、2016年の米国のエネルギー由来の二酸化炭素(C02)排出量が15年の52億5,900万トンから51億7,000万トンに減少したことを明らかにした。EIAは、エネルギー単位あたりの炭素強度や、国内総生産(GDP)あたりのエネルギー強度が低下したことが排出量削減につながったと分析している。
EIAはまた、10月半ばにエネルギー短観(STEO)を発表。それによると、2017年の米国におけるエネルギー由来のC2排出量は前年比で減少する見通しという。天候の状況によって、空調関連のエネルギー消費量が変動するが、17年の冷房日数は平年に比べ少なく、暖房日数が増加すると予想する。2018年は、冷房需要が前年比2.4%増、暖房需要が同7.5%増との見通しで、CO2排出量が増加すると見込む。
このほか、EIAは、米国の埋め立て地で発生する廃棄物などから回収されるバイオガス由来の再生可能天然ガス(RNG)の2016年の消費量が増加した結果、政府目標(RFS)を達成したと発表した。16年のRNGは1億8,900万ガロンで、米政府のセルロース系バイオ燃料消費(目標)量の8割強を占めたという。
ところで、EIAは10月11日、米国における大半の家庭で冬場の暖房コストが過去2年間に比べて上昇するとの見通しを公表した。EIAは、寒冷による燃料費の値上がりが主因とした。米海洋大気庁(NOAA)の予報によると、今冬は昨冬に比べて寒冷になるとするものの、過去10年で平年並みとしている。