カナダでは、パイプライン建設計画の中止や、同国に進出する外資系企業が資産売却を進める動きなどが伝わる。
カナダのパイプライン建設大手のトランスカナダ(TC)は10月初旬、「エナジー・イースト・イースタン・メインライン」パイプライン計画を中止すると発表した。地元住民や環境保護団体などが建設計画に反対する中、国家エネルギー委員会(NEB)が今夏、プロジェクトを再評価する方針を示していたという。これに対し、トランスカナダは、プロジェクトの許可申請手続きの一時保留をNEBに申し出ていたそうだ。
また、『ロイター通信』は10月はじめ、マレーシア国営ペトロナスが、カナダ子会社であるプログレス・エナジーが保有するアルバータ州ディープ・ベースンの権益売却を検討していると報じた。報道によると、ディープ・ベースンの原油・天然ガス生産量は日量5,500バレル(原油換算)。買収対象の資産に天然ガスプラント3基やパイプラインなどが含まれるという。ペトロナスは最近、カナダでの事業見直しを進めている。2017年7月には、加ブリティッシュコロンビア(BC)州沿岸で計画していた液化天然ガス(LNG)輸出プロジェクトの中止を発表済みだ。
一方、カナダの石油・天然ガス会社であるキエラ・コープは10月10日、米シェブロンのカナダ子会社であるシェブロン・カナダと、加アルバータ州フォクスクリーク近郊のケイボブ・デュバーネイの天然ガス液(NGL)貯蔵・輸送役務を受注し、20年間にわたる長期契約を締結したと発表した。
このほか、カナダのパイプライン運営会社であるペンビナ・パイプライン・コーポレーションは10月はじめ、カナダのエネルギー会社ベレセンの買収手続きを完了したと発表した。ペンビナはベレセン株式100%を94億ドルで取得し、ベレゼンの負債を引き継いだ。ベレゼンは2017年9月、米国で予定するLNG輸出プロジェクト「ジョーダン・コーブ・エナジー」(生産能力は年間780万トン)や、「パシフィック・コネクター・ガス・パイプライン」にかかわる建設について、米連邦エネルギー規制委員会(FERC)から認可されていた。ペンビナは今後、2019年にプロジェクトの最終投資判断(FID)を下し、2024年にもLNG輸出を開始する予定としている。