今回は、ドイツにおけるエネルギー事情を取り上げる。石油化学プラントの建設計画が持ち上がるほか、再生可能エネルギーの導入が増加傾向にあるといったニュースが伝わる。
フェノールやアセトン製造を手がける化学大手のイネオス・フェノールは、ドイツに世界最大級のクメンプラントの建設を計画している。8月2日付のサイト『コーティング・ワールド』などによると、2017年末までにプロジェクト全体の投資計画を策定する予定という。炭化水素に分類される芳香族化合物のクメンは、独グラッドベック、ベルギー・アントワープのフェノール・アセトンプラントに供給する見通しだ。
独タイヤ・自動車部品メーカーのコンチネンタルは8月1日、オキシメチレンエーテル(OME)の車両試験を実施したと発表した。OMEを15%配合したディーゼル燃料をディーゼルエンジンでテストしたところ、技術的に問題がなく、温室効果ガス(GHG)排出量の削減につながることが分かったという。OMEを15%配合したディーゼルによる二酸化炭素(CO2)排出量の削減効果は1キロメートルあたり8グラムだった。
他方、ドイツにおける2017年1~6月の洋上風力発電量は8.48テラ・ワット時(TWh)を記録した。2015年の年間8.29TWhをすでに超えたとともに、16年の年間12.37TWhの7割に達しているため、17年は年間ベースで16年を超えるとみられている。ドイツでは今年上半期に626メガワット(MW)分の風力発電プラントが稼働し、年末までにさらに295MW分が加わるという。
このほか、欧州委員会(EC)が7月12日、ガスインフラ大手のオランダ・ガス連合(Gasunie)、独オイルタンキング、蘭ヴォパックの3社に対し、ドイツ北部で予定するLNG輸入ターミナルを運営する合弁企業(JV)の設立を認可したと発表した。ECの欧州連合競争法に基づく判断とされる。3社は現在、LNGターミナルの建設・操業に向けた事業化調査(FS)を実施しているが、ECの認可によって作業に弾みが付く。LNGターミナルの建設は、エルベ川沿いのブルンスビュッテルが候補先として挙がっている。