今回は、サウジアラビアの最新動向を紹介する。国営サウジアラムコが今後10年間で、天然ガスの生産量を倍増する計画が進行するほか、同社と英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルが米国で展開する合弁事業を解散し、保有資産を分割するとのニュースも伝わっている。

サウジアラムコの首脳がこのほど、今後10年間で同国の天然ガス生産量を現行の日量120億立方フィート気圧(Scf)から、同230億Scfに倍増する計画であることを明らかにした。3月8日付の『ロイター通信』が伝えた。それによると、同社はすでに発電や石油化学の原料向けとなる天然ガスの増産計画に着手しているという。サウジ北部で、非在来型天然ガス田の探査・開発も推進中だそうだ。増産計画にともない、精製能力も現行の日量540万バレルから同800~1,000万バレルにまで増やす予定だ。

他方、ロイヤル・ダッチ・シェルは3月16日、同社とサウジアラムコが米国で展開する均等権益共同事業体であるモティバ・エンタープライズ(本拠地:米テキサス州ヒューストン)を解散し、保有資産を分割すると発表した。今回の合意によって、アラムコはモティバのブランドを引き継ぐほか、テキサス州にあるポートアーサー製油所(精製能力は日量60万バレル)と配送ターミナル26カ所を保有することになる。

シェルは、米ルイジアナ州のノルコ製油所(精製能力は日量23万5,000バレル)と石油化学関連の複合施設、コンベント製油所(同23万バレル)と配送ターミナル9カ所を保有することになる。

石油・ガスの需給データベースであるJODI(ジョイント・オルガニゼーション・データ・イニシアチブ)によると、サウジアラビアの1月の原油輸出量は日量783万5,000バレルで、2015年12月の同748万6,000バレルを上回った。1月の原油生産量は日量1,023万バレルで、前年12月の1,014万4,000バレルを上回った。

一方、国内の原油在庫量は3億2,500万バレルから3億1,400万バレルに減少した。また、サウジ国内製油所の原油処理量は日量231万2,000バレルから同246万8,000バレルに増加。石油製品の輸出量は同144万1,000バレルから同134万3,000バレルに減少した。