今回は、ギリシャにおけるエネルギー開発の最新動向を取り上げる。国営天然ガス供給会社のDESFAの株式売却や、「メディタラニアン(地中海)パイプライン」プロジェクトに関連し、当該国であるギリシャ、イスラエル、キプロスの3首脳が建設を推進することに合意するなどの情報が伝わっている。

 ギリシャ国有資産の管理会社である「HRADF」は626日、国営天然ガス供給会社であるDESFAの株式66%の売却にかかわる入札を開始したと発表した。本件についてはこれまで、アゼルバイジャンの国営石油会社であるソカールが4億ユーロで落札するとみられていたが、201611月に白紙撤回され、ギリシャ政府は今般、あらためて再入札を決めたという。同日付のサイト『ニューヨーロッパ』などによると、現時点で、イタリアのガス・電力輸送網の所有会社「SNAM」がDESFAの株式取得に関心を示しているとされる。

 英油田サービス会社のウッドグループは627日、ギリシャの天然ガス会社ガストレードからギリシャ沖合にあるアレクサンドロポリス・インディペンデント・ナチュラルガス・システム(INGS)計画で基本設計役務(FEED)を受注したと発表した。このプロジェクトは、浮体式の液化天然ガス(LNG)貯蔵・再ガス化設備(FSRU)を建設し、欧州各地に天然ガスを輸送するもの。今年後半にも最終投資判断(FID)が下される見通しだ。

 615日付の『ロイター通信』によると、ギリシャのツィプラス首相、イスラエルのネタニヤフ首相、キプロスのアナスタシアディス大統領は、3国による首脳会談を開催し、イスラエル沖合で産出される天然ガスを欧州向けに輸送する「メディタラニアン(地中海)パイプライン」の建設推進で合意したという。ネタニヤフ首相は、イスラエルでパイプライン建設にかかわる入札を実施すると表明した。

 ギリシャ政府は623日、米エクソンモービル、仏トタル、ギリシャ国営石油会社のヘレニック・ペトロリアムで構成されるコンソーシアム(複合企業体)に対し、クレタ島の沖合で計画される石油・天然ガス鉱区開発を承認したと発表した。

 これに加え、ギリシャ政府は、同国のエネルギー開発企業であるエネルギアン・オイル&ガスが進めるギリシャ西部沖合の開発事業も承認した。同日付のサイト『オフショア・エナジー・トゥデイ』などによると、各企業は今年の7月末までに各鉱区の掘削業務にかかわる入札を開始する予定としている。