英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルが資産圧縮の動きを進めている。2016年に英BGグループを540億ドルで買収したシェルは現在、300億ドルの資産売却に取り組んでおり、昨年以降の売却額は約150億ドルとなっている。
シェルは3月末、米投資ファンドのカーライル・グループ傘下にあるアサーラ・エナジーにガボンの陸上石油・天然ガス資産を5億8,700万ドルで売却することに合意した。3月24日付の『ロイター通信』によると、売却する資産の生産量は原油換算で日量約6万バレル。このうち、シェルが保有する権益分は同4万バレルという。
シェルは3月初旬、カナダに保有するオイルサンド(油砂)プロジェクトとアサバスカ・オイルサンズ・プロジェクト(AOSP)の株式を売却することに、カナダの子会社であるシェル・カナダ・エナジー、シェル・カナダ・リミテッド、シェル・カナダ・リソーシズが合意したと発表した。
シェルはまた、米カリフォルニア州で操業するシェル・マルティネス製油所(精製能力は日量15万8,000バレル)の売却交渉を進めている。『ロイター通信』などの報道によると、交渉先はPBFエナジーNTRパートナーズⅢとされる。シェルはこれまで、ベーカーフィールドとウィルミントンの両製油所を売却済みで、マルティネス製油所が売却されれば、カリフォルニア州に所有する製油所はゼロとなる。
このほか、シェルの子会社であるシェル・オフショアと、三井石油開発の子会社であるMOEXノース・アメリカは2月末、メキシコ湾のカイキアス深海プロジェクトのフェーズ1に最終投資決定(FID)を下したと発表。損益分岐点となる原油価格は1バレル40ドルを想定する。2019年にフェーズ1の生産開始を予定する。3つの生産井でピーク生産量を日量4万バレル(原油換算)と見込む。カイキアスは、米ルイジアナ州から約210キロメートル沖合のマース・ウルサ海盆に位置し、可採埋蔵量は原油換算で約1億バレルとされる。