今回は欧州の2カ国(スペインとフランス)におけるエネルギー関連情報を取り上げる。

天然ガスの配送を手がけるスペインのガス・ナチュラル・フェノーサと、フェリー運航会社のバレアリアは3月初旬、スペインで初めてとなる液化天然ガス(LNG)燃料を使用したフェリーの運航を開始した。ルートは、スペイン本土のバルセロナと地中海に浮かぶマヨルカ島のパルマ・デ・マヨルカを結ぶ。このフェリーは容量30立方メートルのLNGタンクを備えているという。乗客数は900人。LNG燃料を利用することで、年間ベースで二酸化炭素(CO2)4,000トン、窒素酸化物(NOx)60トン、硫黄酸化物(SOx)6トンを削減できるとみられる。

一方、スペインの石油・天然ガス会社のレプソルは3月9日、米アームストロング・オイル・アンド・ガス(コロラド州デンバー)とともに、米アラスカ州ノーススロープで12億バレル相当の原油埋蔵を確認したと発表した。米国内の陸上鉱区で発見された原油の埋蔵量としては、過去30年で最大級とされる。レプソルは、2021年に日量12万バレルの原油生産を開始するとしている。

フランスでは、エネルギー大手のエンジーが子会社のGDFインターナショナルを通じて、インド最大のLNG輸入会社であるペトロネットLNGの株式10%を売却し、撤退する意向を示したという。3月8日付の『ロイター通信』によると、売却先はペトロネットLNGの株主を優先する。エンジーが保有するペトロネットLNG株式の市場価値(3月初旬現在)は約4億3,400万ドルとされる。

エンジーはまた、アルジェリア国営のソナトラックとの間で、今年3月に満了となるLNG供給契約(年間100億立方メートル)を延長することに合意した。新規の契約期間は10~15年とみられている。2017年のアルジェリアのLNG輸出量は570億立方メートルで、これまでの最高だった540億立方メートル(2016年)を上回る見通しだ。

このほか、仏トタルとブラジル国営のペトロブラスが2月末、上流・下流事業部門で戦略的提携契約(SAA)を締結した。ペトロブラスは、同社が保有する複数区の権益をトタルに計22億2,500万ドルで売却するとしている。