電気・ガス料金比較サイトで、フランス最大手のセレクトラが4月1日、日本市場へ本格的な参入を果たした。電力小売りの全面自由化が商機につながると判断したようだ。リム総研はこのほど、最高経営責任者(CEO)のグザビエ・ピノン氏(29歳)に都内でインタビューした。(写真左がピノンCEO、右は河野友美コンテンツマネージャー)
セレクトラは日本語版の比較サイトをすでに立ち上げている。このほか、5月1日から福岡市にコールセンターを設置し、電力会社からの切り替え手続きの代行業務をスタートさせる予定だ。日本市場に参入する狙いについて、ピノン氏は「電力自由化で日本が世界で最大の市場になるから」と説明。アジア進出に際し、シンガポールや豪州が候補先として挙がったようだが、市場規模が小さいシンガポールや、熾烈な競争が繰り広げられている豪州を避け、日本進出を決めたという。同氏は高校時代、交換留学生として京都府宇治市の家庭で数週間ホームステイした経験があるほか、パリ政治学院(ファイナンス・企業戦略専攻)などを経て、2006年から1年間、東京大学で学んだ経歴も有する。そのため「個人的に日本に愛着を感じることも(進出の)大きな要因」とした。
日本にはすでに電力料金の比較サイトがある。先行他社との競合について、ピノン氏は「(サイト上で運営する)他社と異なり、セレクトラはコールセンターのオペレーターと顧客との会話を重視している。顧客が『なぜ電力会社を切り替えるのか』を聞き出すことができるためだ」と、自社の優位性を強調した。実際、フランスで行った調査を踏まえ「顧客が切り替えるタイミングは、引っ越しするときが多い」(同氏)とし、その後は不動産業者と組んで顧客へのスウィチング(切り替え)を促したという。
日本での当面の利益目標については、2016年の年末までに新規契約件数を月間ベースで2,000件以上を目指す。福岡市での業務は2人でスタート。年内に10人くらいまでスタッフを増やす予定だ。また、大手電力・ガス会社と代理店契約を締結するとし、すでに国内2社と契約済みとしている。
フランスで電力小売りが全面自由化されたのは2007年だ。セレクトラは同年、パリで設立され、その後、スペイン、イタリア、トルコなど計7カ国の電力市場に参入を果たした。2015年末時点で、フランス全体の約11%に相当する370万人が、同社を通じて電力切り替え手続きを行ったそうだ。15年のグループ総売上高は951万3,276ユーロだったという。
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