ロシア最大の国営石油会社であるロスネフチが、国内外の鉱区で試掘作業に取り組んでいる。同社はこのほど、イラクやブラジルなど、国内外における試掘開始を正式発表した。
ロスネフチは1月末、ノルウェーのスタットオイルとの合弁会社(JV)であるドマニク・オイルが、ロシアのサマーラ地域のドマニク・シェール層で試掘作業を開始したと発表した。ロスネフチによると、2016~19年に少なくとも3井を試掘する。多段水圧破砕工法(マルチステージ・ハイドロリック・フラクチャリング)と呼ばれる革新的な技術を導入し、開発効率を図っているという。
ロスネフチはまた、2月下旬にイラクのブロック12鉱区のサルマン-1井で試掘を開始したことを明らかにした。今年7月に試掘作業を終える見通しだ。ブロック12鉱区は、2012年6月にロシア国営石油会社のバシネフチが探査・開発・生産にかかわる権益を取得。その後、2016年10月、ロスネフチがバシネフチを買収した経緯がある。
ロスネフチはさらに、100%子会社のロスネフチ・ブラジルが、アマゾンのソリモンエス盆地で試掘を開始した。今年の第2四半期までに4カ所を試掘する予定。地震調査や生産テストを実施し、埋蔵規模などを調査するという。ロスネフチ・ブラジルは2015年5月、ペトロリオ(旧パルティシパソエス)から権益55%を取得、現在の権益保有比率は100%となっている。
一方、ロシアのアレクサンドル・ノバク・エネルギー相は2月半ば、オペレーターのノバテクが推進するヤマル液化天然ガス(LNG)プロジェクト全体の進捗度が約75%で、第1期のLNG生産プラントは約88%が完成したと発表した。ヤマルLNGの生産能力は年間1,650万トンで、売買契約の殆どが成約済みという。今年10月にもLNGの初出荷を予定する。
ノバク・エネルギー相はまた、ロシア企業による原油の減産を急ぐ方針を示した。昨年11月末の石油油出国機構(OPEC)との協調減産で、今年4月までに日量30万バレルの減産を実施するとした。その上で、1月の減産量は日量10万バレルで、2月にはさらに減産するとの見通しを示した。