ドナルド・トランプ米大統領は1月24日、「キーストーンXL」と「ダコタ・アクセス」パイプラインの建設推進と米国製鋼材の使用を命じる大統領令に署名した。これに基づき、これまで米国内でストップしていたパイプライン建設プロジェクトが一斉に動き出した。(写真はイメージ)

カナダのトランス・カナダは1月末、「キーストーンXL」パイプラインの建設を米国務省に再申請した。この送油管は、加アルバータ州と米ネブラスカ州スティール・シティを結ぶ全長約1,900キロメートル。原油の輸送能力は日量83万バレルだ。トランス・カナダはこれまで、何度となく建設へのゴーサインを米政府に求めてきたが、バラク・オバマ前大統領は環境保護を重視する姿勢を崩さず、2015年末に建設申請を却下した。こうした経緯を考慮すると、今後も環境保護団体をはじめ、土地所有者や原住民らの反対が予想される。1月26日付「カナディアン・プレス」などが報じた。

一方、米フィリップス66は2月初旬、「ダコタ・アクセス」パイプラインを2017年第2四半期にも稼働させる予定であると表明した。当初は、2016年中にも稼働させる予定だったが、キーストーンXLと同様に地元住民らの反対運動で、稼働が大幅に遅れていた。「ダコタ・アクセス」は、ノースダコタ州バッケン・シェール層で産出された原油をイリノイ州に輸送するもので、すでに95%が完成している。輸送能力は日量47万バレルになる。

また、エナジー・トランスファー・パートナーズ(ETP)はこのほど、米連邦規制委員会(FERC)が「ローバー」パイプラインの建設・操業を認可したと発表した。FERCの認可を受け、ETPは計画どおり、2017年6月の稼働を予定している。

このほか、米ブリッジ・テックス・パイプライン(BTP)が運営する「ブリッジ・テックス」送油管について、同社は、輸送能力を現行の日量30万バレルから同40万バレルに増強する工事が、2017年第2四半期にも完了する予定であると明らかにした。このパイプラインは、テキサス州コロラドシティから同州南東部ヒューストンのメキシコ湾岸地域に原油を輸送している。