カナダでは現在、アルバータ州やサスカチュワン州で製油所の近代化計画が進んでいるほか、企業の中には、石油・天然ガス生産量を増やすなど、2年半ほど続いた原油安から反転攻勢に出ている。

英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルは昨年末、アルバータ州エドモントン近郊にあるスコットフォード製油所の近代化プロジェクトが完成したと発表した。このプロジェクトでは、水素化分解装置のコンプレッサーやポンプなどの能力を増強し、ボトルネック(システム設計上の制約)を解消し、原油処理能力を20%拡大することを目指す。

一方、米クウォンタム・エナジーは昨年末、サスカチュワン州ストートン近郊に製油所を新設・運営するための子会社「ドミニオン・エナジー・プロセッシング・グループ」を設立すると発表。製油所の精製能力は日量4万バレルを予定する。サイト『グローブ&メール』などによると、クウォンタムは今後、建設認可の取得と設計に向けた手続きを進め、数年後の完成を目指すとしている。

ところで、カナダ最大の独立系石油会社であるカナディアン・ナチュラル・リソーシズ(CNRL)は昨年末、2017年の石油・天然ガス生産量を日量83万3,000~88万3,000バレル(原油換算)      にすると発表した。16年比で約6%増加する。また、設備投資予算を16年の38億4,000万カナダドルから17年は38億9,000万カナダドルにするとした。アルバータ州フォートマクマレー北部のホライゾン油砂(オイルサンド)プロジェクトの第3フェーズの生産活動が2017年第4四半期にも開始する予定だ。

このほか、『CBCニュース』などの報道によると、CNRLは「コールド・レイク」パイプラインの権益15%を「インター・パイプライン」に5億2,750万ドルで売却した。インターは、コールド・レイクの権益100%を保有することになった。インターはまた、1億2,500万ドルを投資し、アルバータ州でCNRLが操業するカービー・ノース油砂(オイルサンド)生産施設をつなぐパイプラインを建設する予定。新パイプラインは、2020年第1四半期の稼働を見込む。