豪州では、オリジン・エナジーやサントスなどの国内エネルギー企業が負債削減に向けた事業計画を発表し、資産売却を進める動きが目立っている。また、液化天然ガス(LNG)プロジェクトの推進によって、豪州東部を中心に国内向け天然ガスが不足に陥るとの調査結果が報告されている。

オリジン・エナジーは昨年12月、負債削減を急ぐため、7億5,000万ドル相当の石油・天然ガス生産にかかわる資産を売却する計画を公表した。今後、天然ガスの販売や電力事業に経営資源を集中する。ただ、米コノコ・フィリップスなどとの合弁企業(JV)であるオーストラリア・パシフィックLNG(APLNG)の権益は売却しないという。このほか、オリジンは、2017年に新規株式公開(IPO)を実施する方針を明らかにした。

他方、豪エネルギー企業のサントスは昨年末、事業計画を発表し、今後3年間で負債を15億ドル削減し、純負債を30億ドル以下に抑える方針を示した。その上で、次の5つ、GLNGプロジェクト、パプアニューギニア、クーパー盆地、北オーストラリア、西オーストラリアの中核事業に経営資源を集中するとした。また、インドネシアやベトナムに保有する資産を別事業に切り離すことも検討する。

このほか、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルは昨年12月19日、豪州の航空燃料子会社であるシェル・エビエーション・オーストラリアをビバ・エナジー・オーストラリアに約2億5,000万ドルで売却することに合意したと発表。ただ、シェルは、豪州におけるエネルギー上流事業は取引対象外としている。

ところで、オーストラリアン・エナジー・マーケット・オペレーター(AEMO)は昨年末、豪クイーンズランド州のLNGプロジェクトからの輸出量が急増すると予想される2018年から、豪州東部を中心に国内向け天然ガスが不足に陥る可能性があるとの報告書を公表した。AEMOは、豪州東部や南東部の天然ガス需要量は今後5年間で24%増加すると予測。輸出向けLNG価格よりも安い国内向け天然ガスの不足が懸念されると付け加えた。