石油輸出国機構(OPEC)や非OPEC産油国による協調減産の合意で回復基調に転じた原油市況だが、2年半に及ぶ低油価はその影響が企業経営に未だに重くのしかかっているようだ。中国石油天然ガス集団(CNPC)が大幅な人員削減策を発表したほか、2017年の設備投資額を減らすと公表する企業も目立っている。
中国国営CNPCは昨年末、北京本社の人員を2割削減する計画を発表した。サイト『ペトロ・グローバル・ニュース』などによると、人員削減は、中国政府による国営企業の収益改善策の一環とされているようだ。CNPCのようなエネルギー大手による大規模な人員整理は、中国国内で初めての動きとされる。中国の大手エネルギー企業はこれまで、過去2年半に及ぶ原油安の局面でも人員削減に手を付けなかった。CNPCは今後、配置転換を含め、人員削減を今年3月までに完了する見通しだ。
他方、英自動車メーカーのロールス・ロイスは昨年末、海洋事業部門で800人の追加人員削減を計画していると発表。海洋事業部門では、同社の顧客の約6割が石油・天然ガス関連企業という。ロールス・ロイスは、人員削減によるコスト削減効果を年間4,500万~5,000万ポンドと見込む。海洋事業部門には現在、約4,800人が在籍する。同社は2015年、約1,000人規模の人員削減を実施済みだ。
一方、設備投資額の減額を公表した企業もある。米シェブロンは昨年末、2017年の設備投資予算額を196億ドルとすることを明らかにした。この数字は、15年比で42%減、16年日で15%減となり、同社は4年連続で設備投資額を減らす。シェブロンは今後、建設中の複数プロジェクトの完成に向けた投資に注力する方針を示している。
このほか、米フィリップス66も設備投資額を減らす方針を示している。2017年は前年比25%減の27億ドルにすると発表済みだ。世界規模のディーゼル、ガソリンの供給過剰で精製部門の収益が落ち込んでいるため、フィリップス66だけでなく、米独立系石油会社のマラソン・ペトロリアムもプロジェクトの延期や予算削減を計画しているという。