エジプトでは、外資系企業による天然ガスの開発が活発となっている。エジプト国内で天然ガスの生産減が進むなか、液化天然ガス(LNG)の輸入コストを削減するため、自国での天然ガスの新規開発が俄かに加速しているようだ。(写真左がエジプトのシシ大統領、外務省HPから。内閣広報室提供) 

 英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルと米独立系石油会社のアパッチの合弁事業(JV)は3月14日、エジプトのウェスタン・デザート(西部砂漠)アブガラディック鉱区で、6月に非在来型の天然ガス生産を開始する計画であると発表した。3月末までに試験的な掘削作業を実施し、その後、新たに2井を追加掘削する予定としている。JVの出資比率は、シェルが52%、アパッチが48%。エジプトはLNGの輸入コストの削減を図るため、天然ガスの新規開発を加速しているようだ。

一方、イタリア炭化水素公社(ENI)は3月10日、エジプト沖シュルーク鉱区のゾア天然ガス田(ゾア2X井)で試掘を実施し、天然ガスとして日量4,400万立方フィート気圧(Scf)の産出を確認したと発表した。掘削深度は4,170メートルで、重厚は305メートルという。

ENIによると、データ解析の結果、ゾア2X井の生産能力は最大で日量2億5,000万Scf(原油換算で同4万6,000バレル)と見込まれる。ちなみに、シュルーク鉱区の権益は、ENIが100%保有している。

このほか、エジプト国営石油会社のEGPCは3月6日、2つの金融機関から計3億2,500万ドルの融資の提示を受けたと発表した。この資金はアシュート石油精製会社(ASORC)のマズート複合施設プロジェクトの水素化分解装置の建設費用に充当されるという。総投資額は13~16億ドルを見込む。2つの金融機関はミスル銀行とHSBCなどのコンソーシアムと、エジプト国立銀行(NBE)のコンソーシアムという。