南米ではこのほど、チリのコングロマリット(複合企業)であるエンプレッサ・コペックが、米エクソンモービルが南米3カ国で操業する事業を買収する契約に締結したほか、天然ガスパイプラインの建設プロジェクトで過去に実施された入札で不正行為があったとの疑いが浮上したため、入札をやり直すとの情報が伝わっている。(写真はチリの国旗)

コペックは11月16日、エクソンモービルがコロンビア、エクアドル、ペルーの南米3カ国で展開する潤滑油・燃料油の製造・販売事業の買収にかかわる契約を締結したと発表した。今回の買収案件には、コロンビアやエクアドルのプラントや関連施設も含まれる。買収金額は7億4,700万ドル。買収手続きは2017年下半期に完了する予定という。エクソンモービル・エクアドル、エクソンモービル・アンデス・ホールディングとその子会社は、コペックの傘下に入る。

ペルーの経済担当大臣は11月19日、天然ガスパイプライン建設プロジェクト(Gasoducto Sur Peruano)に関連し、2017年に入札をやり直すことを表明した。この入札で不正行為があったとの疑いが浮上したため、ペルーの検察当局などが現在、実態調査に乗り出しているという。2014年に入札を実施した際、ブラジルの大手ゼネコンであるオデブレヒトが、米電力・天然ガス供給会社のセンプラ・エナジーと争い、落札した経緯がある。オデブレヒトは、国内で発覚した大規模な汚職事件について、ブラジル当局による調査が入っている。

他方、アルゼンチン政府はこのほど、国営YPF製油所が原油購入する際に支出していた補助金を撤廃し、原油を市場連動価格で購入する方針に転換するとの情報が伝わった。2015年末に大統領に就任した中道左派のマクリ政権は、財政赤字を削減するため、石油から電力に至るあらゆる補助金の見直しに着手してきた。

このほか、ノルウェーのスタットオイルは11月22日、ブラジル国営のペトロブラスから同国沖合のサントス海盆BM-S-8鉱区の権益66%を買収したと発表した。買収総額の半分に相当する12億5,000万ドルはすでに支払い済みとし、残額は今後の開発の進捗状況に応じて支払うという。この鉱区の埋蔵量は原油換算で7~13億バレル。