今回は、東欧地域におけるエネルギー事情について取り上げる。ブルガリアとルーマニアで初の天然ガス・パイプラインが稼働したほか、ポーランド企業がイランとの石油鉱区開発に乗り出す。また、ハンガリーに拠点を置く多国籍石油・天然ガス企業のMOLグループが、石油化学向け原料などの増産を図るといった情報が伝わっている。(写真はイメージ)

ブルガリア北部のルセとルーマニア南部のジュルジュを結ぶ天然ガス・パイプライン(全長25キロメートル)がこのほど、稼働した。11月12日付のサイト『ルーマニア・ジャーナル』などによると、投資額は2,400万ドルで、ガス輸送能力は年間15億立方メートル。当初、2013年6月の完工を予定したが、技術的な問題で完成がずれ込んだという。

ブルガリアとルーマニアをつなぐ初となるパイプラインの稼働で、天然ガス供給をロシアに完全依存していたブルガリアは、同国からの調達量を低減できるようになる。2009年に発生したロシアとウクライナの天然ガス供給問題のあおりを受け、ブルガリアは当時、ロシアからのガス供給が停止されたことがあった。

一方、ポーランド国営ガス大手のPGNiGは11月6日、イランのSoumar鉱区の共同開発で、イラン国営石油会社(NIOC)と合意したと発表した。PGNiGによると、Soumar鉱区の原油の推定埋蔵量は4億7,500万バレル。今後6カ月をかけて地質調査などを実施し、最終投資判断(FID)を行う見通しとしている。

また、ハンガリーのMOLグループは11月7日、下流部門における中期計画(NDP2015~2017)にかかわる減価償却前営業利益(EBITDA)で5億ドルの改善を目指していると発表した。MOLは2030年までに自動車燃料の事業以外の利益比率を現行の30%未満から50%以上に拡大する予定という。石油化学向け原料やジェット燃料、潤滑油の増産を図る。

このほか、MOLはガソリンやディーゼルの消費量が今後15年間で15%減少するとの予測のもと、スロバキアにある子会社のスラブネフチが運営するブラチスラバ製油所(精製能力は日量12万4,000バレル)で、石化製品を増産するという。MOLは、ハンガリーやスロバキアの石油化学事業に45億ユーロの投資を計画している。