米エネルギー情報局(EIA)はこのほど、シェールオイル生産量や石炭輸出量に加え、2015年に米国で閉鎖した発電所での発電能力の8割超が石炭火力だったとする各種データを相次いで公表した。

まず、米国における4月のシェールオイル生産量は、前月比で日量12万1,000バレル減の同487万バレル。6カ月連続で前月の水準を下回るとの予測を示した。このうち、ノース・ダコタ州バッケンのシェール層で同2万8,000バレル、テキサス州イーグルフォードのシェール層で同5万8,000バレル、それぞれ減少する見通しとしている。他方、リグ(掘削装置)の生産量は、バッケンで1基当たり日量6万バレル、イーグルフォードで同10万バレル、それぞれ増加すると予測する。天然ガス関連では、米国でシェールガス開発が進んだ結果、2006年以降、増産が続いている。これにともない、EIAは、手薄となる液化天然ガス(LNG)の輸出基地の建設を促す。

一方、米国における2015年の石炭の輸出量は7,400万ショートトンで、3年連続の減少となった。これはピーク時(2012年)と比較して5,000万ショートトン減少したことになる。世界の石炭需要の鈍化、市場価格の下落が主な要因という。石炭輸入量は1,100万ショートトンで、EIAは2014年の水準と変化はなかったとした。

ところで、2015年に米国で閉鎖した発電所の発電能力が約18ギガワット(GW)で、そのうちの8割超が石炭火力だったことが判明した。EIAによると、閉鎖した石炭火力の約3割が、水銀・大気有害物質基準(MATS)が発効した同年4月に閉鎖に追い込まれたという。昨年閉鎖された発電所の大半は、1950~1970年にかけて建設されたもので、耐久年数は平均で54年だったとした。

石炭火力発電に関連して、米オレゴン州議会は3月初旬、2035年までに石炭火力発電を廃止し、2040年までに再生可能エネルギーの発電比率を(現行の倍増となる)50%にする法案を可決した。