マレーシアではこのほど、同国サラワク州の州首相が国営ペトロナスに対し、同州出身者の雇用が確保されていないとして、就労許可証を凍結する考えであることを表明した。

サラワク州のアデナン・サテム州首相は8月半ば、同州出身者の雇用が確保されなければ、ペトロナスに対し、就労許可証を凍結する考えをあらためて強調した。サテム氏は、雇用確保の問題が解決されない場合、これまでにペトロナス従業員に対する発行済みの就労許可証を無効にすると付け加えたという。

これに対し、ペトロナスは8月9日、声明を発表し、サラワク州出身者の雇用が確保されていないとの誤解が生じているとの認識を示した。その上で、今後ともサラワク州出身者の新規雇用を続けると主張。ただ、熟練の従業員が就任するポストで、同州の出身者以外が就く場合もあるとした。

他方、ペトロナスはこのほど、カナダで展開するパシフィック・ノースウエスト(PNW)LNGプロジェクトを全面的に見直す意向を示したという。8月8日付のサイト『エッジ・マーケッツ』などが報じた。それによると、ペトロナスは、カナダ環境評価を管轄するCEAAから最終報告書を受けた上で、最終投資判断(FID)を下す見通しだ。カナダ政府は今年3月、ペトロナスのLNGプロジェクトの審査期間を延長すると表明していた。

ところで、ペトロナスは8月22日、今年第2四半期(4~6月期)決算を発表。純利益は前年同期比96%減の3億4,800万リンギ(約87億円)となった。原油安が響いたとした。

そのほか、マレーシアでは、サプラ・ケンチャナ TL オフショアがこのほど、トルコ企業などで構成されるコンソーシアム(TANAP Dogalgaz Iletim)からマルマラ海ダーダネルス海峡の海底パイプライン、光ファイバー敷設にかかわる設計・調達・建設・設置(EPCI)業務を1億2,500万ドルで受注した。サプラ・ケンチャナは、マレーシア石油・天然ガス会社であるサプラ・ケンチャナ・ペトロリアム(SAKP)の子会社である。

昨年2月半ば、トルコ政府はTANAPパイプラインの建設を決定した。経由する関係国の閣僚がアゼルバイジャンの首都バクーに集結した「南部ガス回廊プロジェクト」諮問委員会の会議の場で発表した。このプロジェクトは、カスピ海に位置するアゼルバイジャンのシャー・デニズ2ガス田で産出された天然ガスを、トルコ、ギリシャ、アルバニア、ジョージア (グルジア)経由でイタリアに輸送する全長3,500キロメートルのパイプライン建設計画である。2019年に運転を開始する予定で、天然ガスを年間ベースで160億立方メートルを輸送すると表明済みだ。