今回は、南米諸国におけるエネルギー事情を取り上げる。南米大陸で初のオリンピック開催(リオデジャネイロ大会)となったブラジルでは、国営ペトロブラスが保有権益の売却を進めているほか、ペルーでは今年に入り3度の事故を起こした原油パイプラインを半年間にわたり閉鎖する情報が伝わっている。(写真はブラジル国旗)
ブラジル国営のペトロブラスは7月末、同社が保有するブラジル沖合サントス海盆のBM-S-8と呼ばれる鉱区の権益66%をノルウェーのスタットオイルに売却することに合意した。買収額は25億ドル。BM-S-8鉱区の可採埋蔵量は7~13億バレル(原油換算)とされ、近年に発見されたカルカラ埋蔵層の大部分が含まれるという。7月28日付のサイト『ペンエナジー』などが報じた。
他方、7月29日付の『ハイドロカーボン・プロセッシング』などによると、ペトロブラスは、メキシコの化学品製造会社であるアルペックSAB de CVとブラジルの石油化学2社の権益売却で協議に入ったことが判明した。対象企業は、ブラジル北東部ペルナンブーコ州イポジュカの石化会社であるCompanhia Petroquimica de Pernambucoと、同州レシフェのCompanhia Integrada Textil de Pernambuco。
ペルーでは、原油パイプライン事故の影響が深刻だ。国営ペトロペルーは6月末、今年3度目となる原油流出事故が発生したノーザン・ペルビアン・パイプライン(輸送能力は日量1万2,000バレル)を半年間にわたり閉鎖すると発表した。8月1日付のサイト『ペルー・レポート』によると、送油管の閉鎖によって、192の原油鉱区などで生産停止が続く見通しだ。ただ、原油価格がさらなる上昇に転じれば、バージ船(艀)で原油を輸送する手段を取るとしている。
このほか、ベネズエラ国営PDVSAが、ロシア国営ロスネフチとともに、ベネズエラ沖合3鉱区で探査活動に乗り出すことに合意した。パタン、メジョネス、リオ・カリブと呼ばれる海洋鉱区で、開発や生産に関する企業化調査(FS)を実施する。FSは2017年上半期に終了する予定という。7月29日付の『ロイター通信』が報じた。