バイオ燃料に関する開発競争が激しさを増している。米調査会社はこのほど、航空分野で二酸化炭素(CO2)排出量の削減を抑制するためにバイオジェット燃料の普及がいかに進むかによって、その可否が決まるといった分析結果を公表した。また、バイオメタンガスの収率(理論収量に対する実際に得られた物質量との比率)を向上させた酵素の販売が始まるなどの動きが出ている。(写真はイメージ=沖縄・那覇空港の搭乗手続きカウンター)

米調査会社のラックス・リサーチ(ボストン)は7月末、2050年までに航空分野の二酸化炭素(CO2)排出量を年間2億トンに抑えるためには、バイオジェット燃料の普及がカギを握るとの分析結果を公表した。ラックスは個別企業のケースを取り上げ、米航空機メーカーのボーイングとハネウェルUOPが共同で推進するバイオ燃料プロジェクトを成功させることで、世界が定めたCO2排出量削減目標の56%を賄えるとの見通しを示した。

再生可能エネルギー会社のカナダのバイオックス(オンタリオ州)は6月末、米テキサス州ヒューストンにあるバイオディーゼル施設「グリーン・アース・フューエルズ」について、米ワールド・エナジー(ボストン)と折半出資する合弁会社(JV)で保有し、操業すると発表した。ヒューストンにあるキンダーモーガンの液化燃料プラントに近い場所に施設を設置し、今年の第3四半期に稼働予定。バイオディーゼルの生産能力は年間9,000万ガロンとなり、全米で第3位の規模となる見通しだ。

一方、デュポン・インダストリアル・バイオサイエンスは7月初旬、バイオメタンガスの収率を向上させた酵素「オプティマッシュAD-100」を発売したと発表した。AD-100はバイオメタンガスの収率を従来比で13%改善することに成功したという。AD-100の導入によって、収益性が大幅に向上するそうだ。

このほか、7月11日付の『ロイター通信』によると、インドネシアの国営電力会社であるPT. PLNは、同国政府がバイオディーゼルの配合率を30%(B30)以上に決定した基準について「これを守ることはできない」と表明した。インドネシア政府は昨年、原油輸入量の削減や温室効果ガス(GHG)排出量の削減、国産パーム油の利用促進を目的にバイオディーゼルの配合率の基準などを設定。PT. PLNは基準をクリアできない理由について、B30の基準を適用すると火力プラントに損傷を与えるためとした。