今回は、米国におけるシェール開発事情を中心に取り上げる。中国資本のシェール開発進出が表面化するほか、米エクソンモービルなどの海外進出も注目される。
中国の煙台新潮実業(山東省)の米国子会社であるブルー・ホエール・エナジーがこのほど、米テキサス州パーミアン盆地のシェールオイル鉱区の買収計画に乗り出している事実が明らかとなった。5月29日付のサイト『オイル・プライス』などによると、ブルー・ホエールはオペレーターとして参加し、掘削・探査技術を取得するのが目的とされる。煙台新潮は2015年、テキサス州にある2つの油田を米国企業から合計13億ドルで買収済みという。さらに10億ドル規模の買収を計画しているとし、今回の買収計画はその一環のようだ。
また、6月3日付の『ブルームバーグ・ニュース』と『ロイター通信』は、米エクソンモービルがアルゼンチン南西部ヴァカ・ムエルタ・シェール層の天然ガス開発で、試掘に成功すれば、今後20~30年間で100億ドルを投資する意向であると伝えた。今後、数カ月後に試掘作業を開始する予定で、まずは2億5,000万ドルを投資するという。エクソンは南米大陸で4つの事業を重要視しているが、ヴァカ・ムエルタ開発は、その1つに位置付けられている。
そのほか、米国地質調査所(USGS)は6月8日、米コロラド州西部の盆地にあるマンコス・シェール層の天然ガス埋蔵量が、2003年に確認した1兆6,000億立方フィートから約40倍の66兆3,000億立方フィートに上方修正したことを明らかにした。この数字は、米ペンシルベニア州マーセラス・シェール層の埋蔵量84兆立方フィートに次いで、全米第2位になるという。
ところで、米ノース・ダコタ州のビリングス郡議会はこのほど、米メリディアン・エナジーが申請していたデービス製油所(精製能力は5万5,000バレル)の建設認可を7月6日まで延期した。6月8日付のサイト『マイアミ・ヘラルド』などが報じた。郡議会は延期の理由として、地下水や大気汚染への影響に対する検討が不十分であったためとした。建設予定地の近くにセオドア・ルーズベルト国立公園があり、環境保護団体らの反対運動を無視できなかったのかもしれない。メリディアンは、この製油所建設に8億5,000万ドルを投資する見込みとしていた。