欧州では、石油・天然ガス掘削活動に関連し、英国政府が水圧破砕工法(フラクチャリング)の使用を許可したほか、フランス政府がスト対応で石油戦略備蓄を取り崩すなどの動きが出ている。ドイツでは、2015年の再生可能エネルギーによる電力が大幅に伸びたことが分かった。
英国政府は5月末、同国で5年ぶりに水圧破砕工法の使用を許可した。5月25日付のサイト『アイニュース・トゥディ』などによると、認可された地域は、ロンドンの北方400キロメートルに位置するカービー・ミスパートン村周辺という。英国ではこれまで、小規模地震の発生を引き起こすとの懸念でフラクチャリングの認可が下りていなかった。
水圧破砕工法と地震誘発との関連性については最近、米テキサス州での報告内容が注目された。過去40年間に同州で発生した地震の大半が、石油・天然ガスの開発活動に由来するとの研究結果が専門誌に発表されると、ロイター通信(5月17日付)が伝えた。報道によると、1975~2015年に同州で発生したマグニチュード(M)3以上の地震は162回で、その9割近くが石油・天然ガスの掘削作業に起因するとした。
一方、仏トタルが保有する5つの石油製油所のうち、ノルマンディ製油所(精製能力は日量19万8,000バレル)とドンゲ製油所(同21万9,000バレル)は5月半ばから、労組によるストライキで稼働が停止した。トタル労組のストを受けて、労組組合のCGTは、労働法の改正は従業員の解雇につながるとして全国規模のストを提唱した。
こうした事態を受けて、仏政府はこのほど、石油戦略備蓄からの放出を開始した。仏石油産業同盟(UFIP)が5月25日、過去2日間に石油戦略備蓄からの燃料供給を許可したことを明らかにした。ちなみに、フランスの石油備蓄量は約3カ月分という。
このほか、ドイツでは、2015年の再生可能エネルギーによる発電量が1,940億キロワット時(kWh)で、総発電量の31%を占めた。14年に比べ320億kWh増加し、伸び率は19%で、いずれも過去最高を記録した。5月24日、米エネルギー情報局(EIA)が公表した。そのほかの電力源の総発電量に対する比率は、石炭火力発電が44%、石油が1%、天然ガスが10%、原子力が15%だった。