バイオジェット燃料の開発に関連し、カナダの大手航空会社がバイオ燃料のサプライチェーンを構築するプロジェクトに乗り出すほか、インドではバイオジェット燃料の生産に向けた情報が伝わっている。

航空会社のエア・カナダは5月10日、バイオジェット燃料のサプライチェーンを構築するプロジェクト(CBSCI)について、同社の本拠地であるモントリオール・トルドー国際空港で展開すると発表した。計画では、今後3年間でバイオジェット燃料を400キロリットル使用するという。CBSCIは空港内の燃料供給施設で、他の航空会社にもバイオジェット燃料を供給することになる見通しだ。(写真=エア・カナダ提供)

他方、インドでもバイオ燃料関連の動きがある。東部のビハール州は、サトウキビ由来のエタノールを年間6万キロリットル生産している。ビハール州はこのほど、インド国営石油会社(IOC)、国営バハラット石油(BPCL)、ヒンダスタン石油(HPCL)に対し、同州にある醸造企業がバイオエタノールを購入するよう、石油省を通じて要請したという。5月15日付のサイト『タイムズ・オブ・インディア』などが報じた。

インドではまた、BPCLの子会社であるNRLとフィンランドのケムポリスが、バイオリファイナリー建設に関して、タームシート(条件規定書)に調印した。5月14日付のサイト『エコノミック・タイムズ』などによると、NRLとケムポリスは今後、合弁会社の設立に向け、具体的な検討に入る。タームシートによると、インド東北部のアッサム州で、年間4万9,000トンのバイオエタノールなどを製造する計画という。現時点での投資額は1億4,000万ドルを見込む。

米国では、政府による後押しが目立つ。米エネルギー省(DOE)と米農務省(USDA)傘下の食品・農業研究所(NIFA)は5月9日、バイオ燃料の生産効率の向上と原料改良にかかわる研究プロジェクト計7件に、総額1,000万ドルを助成すると発表した。DOE関連は、バイオガスから化学品を製造する研究のオハイオ州立大学など2件、USDA関連は、化石燃料から森林原料へ転換する際の経済性評価を研究するモンタナ大学など5件だ。このほか、DOEは4月、統合型バイオリファイナリーの建設や設計プロジェクトにも最大9,000万ドルを助成すると発表済みだ。