今回は、水素エネルギー開発について取り上げる。ノルウェーの水素インフラ会社が、水素ステーション向けに水素製造施設を欧州で積極展開するほか、英国のITMパワーがドイツの電力会社と電気分解水素製造システムの販売契約を締結するなどの動きが伝わっている。
ノルウェーの水素インフラ会社H2ロジックは4月4日、水素ステーション向け水素製造施設をデンマークの中央部ユラン地域に位置するヘアニングに建設する契約で合意したと発表した。契約では、水素ステーション300カ所、燃料電池車(FCEV)20万台(年間ベース)に水素を供給する大規模な施設をつくるとしている。投資総額は1,025万ドル。H2ロジックは2011年以降、水素ステーションの建設に乗り出し、欧州で30%のシェアを獲得しているという。
このほか、H2ロジックは4月18日、水素ステーション用の次世代供給装置「CAR-200」の概要を発表した。CAR-200は、水素専用の注入機器を装備し、大きさは従来の3分の1で、供給能力は3倍増になるという。しかも、ガソリン給油装置に隣接できるとしている。ピーク時の供給能力は3時間で100キログラム、容量は1日あたり最大で200キログラムだ。
一方、英国のITMパワーは3月31日、ドイツの電力会社ZEAGエナジーAGに能力1メガワット(MW)の電気分解水素製造システムを販売する契約を締結したと発表した。システムには、電気分解装置のほか、コンプレッサー・水素充填装置なども含まれるという。出荷は2017年第1四半期を予定。このシステムは、ドイツの航空宇宙研究センター(DLR)の建屋内に設置され、ZEAGが操業にかかわる。DLRは、ドイツのケルンが本拠地で、アウグスブルク、ベルリン、ブレーメン、ハンブルクなど16カ所に約800人の従業員を擁する。国外ではブリッセル、パリ、米ワシントンDC、東京にオフィスを構える。
ところで、ITMパワーは昨年9月10日、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルがロンドンで展開する販売拠点に水素ステーションを建設することについて、両社間で合意したと発表済みだ。