「原油安ショック」シリーズが50回目を迎えた。人員削減を強いられるエネルギー企業が続くほか、ロシアでは、税制上の優遇措置で収益を内部留保する企業があるとの調査レポートが発表されている。
カナダのパイプライン会社であるエンブリッジは10月19日、北米地区で530人の人員削減を行うと発表した。全従業員の5%に相当するとしている。国別の内訳では、カナダで370人、米国で160人が追加削減の対象となる。同社は昨年11月、北米地区ですでに600人の人員削減を実施済みだ。
ケッペル・コープ(本拠地はシンガポール)はこのほど、子会社のケッペル・オフショア&マリーンが3,080人の追加人員削減を実施したことを明らかにした。この結果、今年1月から9月にかけての削減数は8,000人規模に上り、全従業員の約26%に相当するという。
このほか、米油田サービス会社のFMCテクノロジーズは10月20日、今年第3四半期(7~9月期)に1,000人規模の人員削減に踏み切った結果、従業員数が1万4,500人になったと発表した。今回の人員削減は、今年5月に発表された仏テクニップとの合併計画とは関係がないとしている。
他方、アラブ首長国連邦(UAE)では、事業再編を進めるアブダビ国営石油会社(ADNOC)が海運・港湾サービス事業3社の統合に踏み切る方針だ。10月18日付のサイト『トレード・アラビア』などが報じた。対象となるのは、タンカー会社のAdnatco、石油サービス会社のEsnaad、港湾会社のIrshad。2017年末までにこれら3社を1社に統合する見通しだ。
ところで、米エネルギー情報局(EIA)は10月20日、ロシア国内の石油・天然ガス企業の投資について、原油価格の影響が少ないとする内容のレポートを発表した。ロシアでは、石油や天然ガスなどエネルギーに対する課税は、油価が下落すると課税率の低減につながるシステムを導入しているためという。原油安の状況下、エネルギー企業は収益の多くを内部留保できるという恩恵にあずかっている。実際、国営ロスネフチのロシア国内における探査・開発投資額(2015年)は前年比で30%増になったという。