国際エネルギー機関(IEA)はこのほど、北海ブレント原油価格が1バレル60ドルで、北米における原油増産の引き金になるとの見通しを示した。これに対し、調査会社のJBCエナジーは、ブレント原油が60ドルを維持した場合、米シェール業者が一斉に生産活動を再開するとした上で、2018年初めまでに日量100万バレル超の増産につながるとの見方を示した。(写真は米エネルギー省のロゴマーク)
米エネルギー情報局(EIA)のレポート(10月5日付)によると、米国の原油輸入動向に変化が見られるという。今年上半期の米原油輸入量は、前年同期比7%増の52万8,000バレル(日量ベース)だった。米国ではこれまで、原油増産にともない、輸入量が減少してきたが、一転して増加した。
米エネルギー省(DOE)が設定する地区区分でみると、最も増加したのが、東岸地域(PADD1)で同41%増の日量24万4,000バレル。ロッキー山脈地域(PADD4)を除く全エリアで原油輸入量が増加した。国別では、ナイジェリアやイラク、カナダからの輸入が貢献したが、メキシコからの原油輸入は減少した。EIAは輸入増の要因について、米国産原油と海外産原油との値差が縮小したことが大きいと分析した。
ところで、EIAは毎週発表する「週間石油統計」について、10月11日付のレポートで、原油在庫分の中身について変更することを明らかにした。それによると、10月13日の発行分からコマーシャル(当業者)の原油在庫のデータから「リース在庫分」を除外するとした。リース在庫は、石油掘削業者がリース用地で生産し、貯蔵する在庫分で、大半の生産者が生産量に算入していない。
米当業者の原油在庫は、2014年1月時点で約3億6,700万バレルだったが、今年6月には5億2,900万バレルに増加。一方、リース在庫は同期間で3,060万バレルから3,310万バレルと、殆ど変化がないのが実態という。
EIAはこのほか、9月30日付のレポートで、米国企業別のペルシャ湾岸からの原油輸入に関するデータを公表した。対象国は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、クウェート、カタール、イラク、イラン。