今回は、中東カタールにおける最新動向を取り上げる。各種メディアによると、仏トタルがカタール沖合鉱区の油田権益を獲得したほか、カタールガスがパキスタンと液化天然ガス(LNG)長期契約を締結したニュースなどが伝わっている。

トタルはこのほど、カタール沖合にあるアル・シャヒーン油田の権益30%をカタール国営石油(QP)から取得したと発表した。デンマークのマースク・オイルが25年間にわたる生産分与契約(PSA)を締結しているため、その契約が終了する2017年7月14日から25年の契約が発効するという。トタルは権益取得後、QPと新会社を設立する。アル・シャヒーン油田はカタールのラスラファン沖合80キロメートルに位置し、1994年から生産活動を開始した。現在の原油生産量は日量30万バレルとされる。『ロイター通信』(6月27日付)によると、QPは昨年7月、外資系企業に入札を呼びかけたものの、低調に終わったという。

また、QPは国営カタール・インターナショナナル・ペトロリアム・マーケティング・カンパニー(Tasweeq)を吸収合併する。Tasweeqは、従業員のほか、資産や顧客を年内にQPに移行する予定としている。6月26日付のサイト『ガルフ・ビジネス』などが報じた。

このほか、カタールガスは6月30日、パキスタンのグローバル・エナジー・インフラストラクチャー(GEIL)と20年間の液化天然ガス(LNG)供給契約を締結したと発表した。(写真はカタールガスのニュース・リリースから引用)。2018年から年間130万トン、さらに230万トンまでの選択権(オプション)が付けられている。カタールガスは、パキスタン国営石油(PSO)と今年2月、15年間のLNG供給(年間ベースで375万トン)を締結済みだ。今回のGEILとの契約は、PSO分に上乗せされるという。

一方、カタール・ナショナル銀行(QNB)はこのほど、豪州、米国、ロシアからの供給が増加すると予想されることから、世界のLNG市場で2020年まで供給過剰の状況が続くとの見通しを示した。その上で、火力発電が世界規模で石炭焚きから天然ガス焚きへと転換すると予想されることや、インドなどの新興国で需要増が見込まれるため、2020年以降は供給不足になると付け加えた。