中央アジアのアゼルバイジャン(首都:バクー)が、インドやロシアに加え、マレーシアともエネルギー協力拡大に乗り出している。このほど、両国の国営石油・天然ガス会社の幹部同士が会談し、これまで以上に互いの関係を強化することで合意したという。
6月20日付のサイト『AZERNEWS』によると、マレーシアの国営ペトロナスの幹部が、アゼルバイジャンの国営SOCAR幹部と会談し、両社が協力関係を拡大することに合意した。ペトロナスは現在、アゼルバイジャンの天然ガス・プロジェクト「シャー・デニズ・フェーズ2」に参加している。ペトロナスは、シャー・デニズの天然ガス・コンデンセート田の権益15.5%、南コーカサス天然ガスパイプラインの権益15.5%、アゼルバイジャン・ガスサプライの権益12.4%をそれぞれ保有しているという。
アゼルバイジャンのエネルギー概要を見てみよう。米エネルギー情報局(EIA)は6月24日、アゼルバイジャンの国別レポートを更新し、その内容を公表した。それによると、同国は世界で最古参の産油国の1つとされ、欧州大陸への石油・天然ガス供給国として重要な役割を果たすとしている。2013年における国内の一次エネルギー消費比率は、天然ガスが67%、原油が31%、その他(水力発電など)となっている。
アゼルバイジャンの原油確認埋蔵量は70億バレル(2016年1月1日現在)。2015年の原油類の生産量は日量85万バレル、国内における石油消費量は同10万バレル。2014年の原油輸出量は日量70万7,000バレルだ。ピーク時の2010年(日量90万バレル)から減少傾向にあるという。また、国内にある2つの製油所の総精製能力は日量12万バレル。
一方、天然ガスの確認埋蔵量は59兆立方フィート(2016年1月1日現在)で、国内消費量は3,730億立方フィート。2014年の天然ガス輸出量は2,400億立方フィートだった。
このほか、本サイト「エネルギーフロントライン」(2016年6月16日付)で取り上げたように、中国石油天然ガス集団(CNPC)がアゼルバイジャンの製油所や石油化学プロジェクトに投資の意向を示しているほか、アゼルバイジャンの国営SOCARがオーストリアのOMVのトルコ子会社を買収する方向で調整しているとの情報が伝わっている。