英国の欧州連合(EU)からの残留・離脱を問う国民投票で離脱派が勝利した。予想外の結果を受けて、英国だけに留まらず、国際金融市場に大きな影響を及ぼしている。こうした中、英アバディーンを本拠地とするTWMAが、米独立系石油企業と英領北海でのリグ(掘削装置)廃棄物処理技術で契約したことが判明した。また、英ナショナルグリッドの予測で、英国における天然ガス・電力輸入依存度が2030年まで増加するとの見通しが出ている。

TWMAはこのほど、米アパッチと英領北海ベリル油田リグのウィルフェニックスで、150万ポンド(約190万ドル)の契約を締結した。TWMAは今後、掘削廃棄物を除去する「TCCロトミル・エフィシェントC」と呼ばれる技術をアパッチ側に提供する見通しだ。

他方、ナショナルグリッドは「将来のエネルギー・シナリオ」で、英国は2030年までに天然ガスや電力の輸入依存度が増加するとの予測を示した。7月4日付の『ワシントン・ポスト』などによると、英国ではロシアからの天然ガス供給で、液化天然ガス(LNG)を含むガス輸入量が2030年に現行比で38%増加するとしている。

電力輸入については、現在の4ギガワット(GW)から23GWに増加する。ナショナルグリッドは、英国政府が二酸化炭素(CO2)排出削減対策を推進していることや、石油や石炭といった化石燃料による発電を抑制する動きにシフトしているほか、再生可能発電に対する補助金削減などを実施すると決定したため、ガスのエネルギー供給に占める役割が高まると予測している。

ところで、英EU離脱の決定を受けて、国内外に動揺が広がる中、英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルは6月24日、英国のEU離脱後も英政府やEU関係機関との協調関係を維持する意向を早くも表明した。また、英BPも同日、声明を発表し、英政府のEU離脱後もBP本社はロンドンに留まるとコメントした。

今後の英国の政治動向については、与党・保守党の党首選第2回予備投票が7月7日に実施され、テリーザ・メイ内相とアンドレア・レッドソム・エネルギー担当閣外相が決選投票で戦うことに決まった。ただ、レッドソム氏が7月11日、選挙戦からの撤退を突如表明したため、党首選が事実上終了。メイ氏が13日、次期首相の座に就いた。