欧州大陸におけるドイツとオランダの最新事情を報告する。主要メディアなどによると、ドイツ議会では条件付きながら水圧破砕工法(フラクチャリング)の利用を禁止する法案が可決、成立した。一方、オランダでは地震誘発に対する懸念から主要天然ガス田での生産活動を抑制する決定をした。(写真はドイツの国会議事堂)

6月21日付のサイト『オイル・プライス』などによると、ドイツキリスト教民主同盟(CDU)とドイツ社会民主党(SPD)の連立与党は今年6月、シェールガスを掘削する際に利用される水圧破砕工法を無期限に禁止することに合意した。ただ、各州政府の許可があれば、試験的な掘削は可能とした。

今後、国会で法案成立となれば、欧州連合(EU)ではフランスに続いて水圧破砕工法が使用不可となる。自国での水圧破砕工法を禁止しているフランスでは5月、米国産由来のシェールガス輸入禁止の検討に入るなど、フラクチャリング使用に対するアレルギーが、国民の間で高まりつつあるようだ。

ところで、6月24日に開催されたドイツ議会で、水圧破砕工法の使用を禁止する法案が可決した。法律では、2021年までシェールガスや炭層メタン(CBM)を生産するために、この水圧破砕工法が禁止されることになったものの、調査名目で国内4カ所でのフラクチャリング使用を認められた。さらに、2021年の時点で、法律自体を見直すとした。

これに対し、「全面禁止」とは名ばかりで、この法律にはいくつかの抜け道があるなどとして、環境保護団体であるグリーンピースが猛反発している。6月24日付の『ガーディアン』など主要紙が報じた。

一方、オランダでは、同国政府がこのほど、主要ガス田であるグローニンゲン天然ガス田の減産を決定した。天然ガス掘削活動が地震を誘発する懸念が生じているためという。6月23日付のサイト『カラニッシュ・エナジー』などによると、減産は今年10月1日から実施され、年間ガス生産量は現行の270億立方メートルから240億立方メートルに引き下げられる。ただ、冬場の緊急時には例外措置として300億立方メートルまで生産ができるとした。