今回は、カナダにおけるエネルギー関連企業の最新動向を取り上げた。(写真はトランス・カナダのロゴマーク)
サイト『カナダ・ドットコム』(6月23日付)などによると、カナダ石油生産者協会(CAPP)は6月下旬、年報を公表し、同国の原油生産量が2030年までに(現在と比べ)28%増の日量490万バレルになると予測した。一昨年来の原油安を受けて、カナダの石油関連企業が投資を数十億ドル規模で手控えたため、従前の予測値である日量530万バレルを下回ったという。ちなみに、CAPPはアルバータ州における今年のオイルサンド(油砂)生産量は日量370万バレルと予測した。
企業関連の動きで見ると、カナダのパイプライン企業であるトランス・カナダは、メキシコの国営電力公社(CFE)から「テキサス-トゥスパン」天然ガスパイプラインの建設・操業業務を受注した。6月13日付のサイト『パイプライン&ガスジャーナル』などが報じた。それによると、このパイプライン建設計画は全長800キロメートルで、輸送能力が日量26億立方フィート。米テキサス州ブラウンズビルと墨ヘラクルス州トゥスパンを結ぶ予定。建設費を21億ドルと見込み、2018年の操業開始を目指す。輸送サービスにかかわる契約期間は25年としている。
また、カナダの石油・天然ガス企業のグラン・ティエラ・エナジー(GTE)は、2016年の開発投資額を1億700万ドルから1億4,000~5,000万ドルに増額すると発表した。増額分をコロンビアのプトゥマヨ盆地で展開する生産鉱区の掘削と、同国のシヌ盆地での地震探査に充てる予定としている。グラン・ティエラの2015年の石油・天然ガス生産量は日量2万3,400バレル(原油換算)だった。16年は前年比20%増の2万7,500~2万9,000バレル(同)を見込む。
他方、カナダの石油・天然ガス企業であるエンカナは6月21日、アルバータ州西部ゴードンデールの石油・天然ガス資産を同国のバーチクリフ・エナジー(カルガリー)に約4億8,800万ドルで売却することに合意したと発表した。売却対象は、土地(5万4,200エーカー)とインフラ設備など。ゴードンデールにおけるエンカナの今年第1四半期の石油・天然ガス生産量は、日量2万5,200バレル(原油換算)。今夏にも売却を完了する見通しとしている。