5月初旬にカナダ・アルバータ州フォートマクマレー付近で発生した大規模な森林火災により、同国ではオイルサンド(油砂)生産活動が停止するなど供給面で支障をきたした。ただ、その後、火災の鎮静化とともに各企業は稼働を再開している。(写真はサンコア・エナジーのロゴマーク)
米エネルギー情報局(EIA)のレポート(6月8日付)によると、カナダでは森林火災によるオイルサンド減産量が日量ベースで最大110万バレル、5月平均で同80万バレルになったという。火災の鎮静化に伴い、生産活動が徐々に再開されているものの、EIAは6月の減産量が日量40万バレルになると試算した。今回の火災によって、オイルサンド生産施設や、従業員の居住区が避難指示の対象となった。
カナダのサンコア・エナジーは5月末、アルバータ州・フォートマクマレーでのオイルサンドの生産活動を再開した。施設そのものに損傷は見られなかったとしている。火災発生後、周辺地区に避難命令が発令されたが、5月23日に避難命令が解除され、27日に州保険局から操業再開の許可が下りたという。5月30日付の『CBCニュース』などが報じた。
また、6月7日付のサイト『ウィニペグ・フリープレス』などによると、米コノコフイリップスは同日、フォートマクマレーにあるサーモント・オイルサンドプラントの運転を再開した。コノコは、生産能力を停止前の日量6万バレルまでに徐々に引き上げるとした。
他方、カナダの警察当局は現在、フォートマクマレー付近で発生した大規模火災について捜査を続行しているが、火元などの確認は出来ていないという。ただ、警察当局は落雷など自然発生的なものでなく、人為的な原因による火災発生とみて、情報提供を求めているようだ。5月1日、森林警備隊が上空からの視察で、フォートマクマレーの南西約15キロメートルで火元を確認。当時、強風と乾燥した天候が続いていたため、延焼面積は瞬く間に拡大し、結果的に地域住民8万人が避難することになった。6月14日付のサイト『グローバル・ニュース』などが伝えた。