英国議会を監視するグループは1月、二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)プロジェクトで、英政府が巨額資金を投資したにもかかわらず、結果的に商業ベースに乗らないことが判明したと結論付けた。また、英国の石油生産・開発会社であるエンクエストが、英BPが英国領北海で保有する油田の権益を取得するほか、英アンガス・エナジーが国内の陸上油田で炭化水素の埋蔵を確認したとのニュースが伝わっている。
英国議会を監視するグループは1月20日、英国会計検査院(NAO)レポートで、CO2回収・貯留(CCS)プロジェクトに英政府が投資した1億6,800万ポンド(約2億ドル)が商業ベースにつながらなかったことが判明したと指摘した。英政府はこれまで、CO2排出量を2050年までに対1990年比で80%削減する目標を掲げてきた。これに対し、英国エネルギー気候変動省(DECC)は、CO2排出削減に関連し、電力部門にCCSを導入しない場合、300億ポンド(約370億ドル)が必要になるとの見通しを提示している。
一方、エンクエストは1月24日、英BPが保有する英国領北海のマグナス油田の権益25%を取得すると発表した。買収額は8,500万ドルの見込み。エンクエストは、残りの権益75%と同油田のBP資産も買収する方針という。また、エンクエストは、BPと共同で生産活動を実施している北海での2油田を閉止する役務をBPから5,000万ドルで受け取ることも予定している。
このほか、アンガス・エナジーは1月26日、英ブロックハム陸上油田で炭化水素の埋蔵を確認したと発表した。BPは1987年、ブロックハム-X1鉱区で原油の埋蔵を発見したが、今回、アンガスが探鉱した鉱区では未発見に終わっていたという。ちなみに、アンガスはブロックハム油田を含む「PL235」と呼ばれる鉱区の権益55%を保有している。
ところで、BPは1月25日、2017年版「BPエナジー・アウトルック」を公表した。それによると、世界のエネルギー需要は2015~2035年に30%増加すると予測。年率に換算すると1.3%の増加で、国内総生産(GDP)成長率3.4%(年率換算)に比べて低いとした。一方、原油の需要は年率で0.7%増になるとの見通しを示した。