ポーランドのフェリー運行会社であるポルフェリーズはこのほど、低硫黄濃度規格に基づく船舶燃料の調達に乗り出したほか、ウクライナ危機をきっかけにロシア離れを加速し、イランから原油を輸入するなど、調達先の分散化、多様化を進めている。

フィンランドのネステはこのほど、ポルフェリーズに低硫黄濃度規格の船舶燃料を供給することに合意したと発表した。2017年からスウェーデンのニュネスハムンとバルト海経由でポーランドのグダニスクをつなぐ航路便に供給されるという。欧州連合(EU)の環境規制では、バルト海、北海、イギリス海峡(英仏海峡)を航行する船舶に対し、硫黄排出量の削減を規定している。ネステは、硫黄濃度0.1%以下の船舶燃料を提供している。今回の合意を受けて、ポルフェリーズのピーター・レドメルスキー最高経営責任者(CEO)は「環境面への配慮、国際法令の順守は、われわれにとり最重要項目だ。高品質かつ低硫黄濃度規格による製品提供ができるネステを選んだ」との声明を発表した。

一方、ポーランド最大の石油精製会社であるPKNオルレンは昨年末、イラン産の軽質原油を100万バレル購入したと発表した。年明けにグダニスク港に到着した後、プウォツク製油所に輸送するとした。ウクライナ危機をきっかけに、原油の調達先をロシアから他の供給国にシフトする姿勢を鮮明にする中、PKNは今後、イラン国営石油会社(NIOC)との関係構築を目指すとしている。

天然ガスの調達についても新たな動きが出ている。国営のガス-システムとウクライナ国営のウクルトランガスが、天然ガスを融通し合うことで強化を図る。ポーランドからウクライナへの天然ガス輸送量を現行の年間15億立方メートルから2020年に年間50億立方メートルまで増やすという。天然ガスでロシア依存の大きいウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領と、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は昨年12月初旬、ロシア国営ガスプロムがウクライナを経由して欧州市場に天然ガスを供給する計画に反対の意を表明済みだ。

ところで、冷戦終結後、最大規模とされる米軍部隊の第一陣が1月12日、ポーランド西部オルシナに到着した。国際報道によると、最終的に3,000人規模の兵力がポーランドに展開するという。ポーランド、ウクライナとロシアとの関係悪化が助長されるとの懸念が広がっている。