国営ペメックスによる75年間に及ぶ独占状態に終止符を打ったメキシコのエネルギー政策。同国政府は昨年末、メキシコ湾での石油・天然ガス鉱区の入札で落札先企業を決定した。外資参入を促すことで、原油生産量の増加につなげる政策が本格化している。
まず、メキシコ湾北部海域のペルディド埋蔵層では、中国海洋石油(CNOOC)が2鉱区、仏トタルと米エクソンモービル、米シェブロン、メキシコ国営ペメックス、国際石油開発帝石(INPEX)がそれぞれ1鉱区を落札。サリナ海盆の鉱区では、ノルウェーのスタットオイル、英BP、トタル、マレーシアのペトロナスがそれぞれ2鉱区、米マーフィ・オイルと英オフィール・エナジーが1鉱区ずつを落札した。
一方、深海のトリオン鉱区(水深約2,500メートル)では、豪州のBHPビリトンとペメックスが落札した。この深海鉱区の原油可採埋蔵量は4億8,500万バレル(原油換算)、開発にかかる投資額は約110億ドルとしている。昨年11月末、セミナー参加のために来日したメキシコ・エネルギー省のアルド・フローレス・キローガ炭化水素次官は「ペメックスで独占されていたメキシコ市場を競争市場に変えるため、法改正を実施していく」などと強調した。
ところで、米エネルギー情報局(EIA)は昨年12月9日、メキシコの国別レポートの内容を更新し、公表した。それによると、メキシコの原油類の生産量は北・南米大陸で、米国、カナダ、ブラジルに次ぐ第4位としたが、2005年以降は減少が目立っていると付け加えた。
メキシコ原油の確認埋蔵量は97億バレル(2015年末現在)。15年の原油類の生産量は日量260万バレルで、1981年以来で最低水準を記録。このうち、日量230万バレルが原油で、残りはコンデンセートや天然ガス液(NGL)などとなった。15年の国内消費量は日量170万バレルで、半分近くをガソリンが占めた。また、原油輸出量は日量117万バレルで、米国向けが約59%。石油製品の輸入量は日量74万バレルで、ガソリンが全体の58%を占め、残りはディーゼル、NGLなどとなった。石油製品の輸出量は日量19万5,000バレルで、重油やナフサが中心。国内6製油所での総精製能力は日量154万バレルだった。
一方、天然ガスの確認埋蔵量は15兆3,000億立方フィート(2015年12月末現在)。2015年の天然ガス生産量は1兆4,000億立方フィート。メキシコは天然ガスの純輸入国で、輸入量は29億立方フィートだった。