カナダ連邦政府はこのほど、石炭火力による発電事業から撤退すると表明したほか、同国のケベック州でゼロエミッション車(ZEV)の基準に関わる法案を全会一致で採択するなど、地球温暖化の防止に向けた取り組みに対し、国を挙げて推進している。
カナダ政府は11月21日、温室効果ガス(GHG)の排出削減を目的に、2030年までに石炭火力発電から撤退すると発表した。エネルギー開発が盛んなアルバータ州などカナダの4州は、二酸化炭素(CO2)排出量が少ない発電設備に切り替えや、CO2を回収・貯蔵する技術の確立が急務となる。そのため、連邦政府は2017年にインフラ向けの金融機関を設立し、企業の取り組みを後押しする方針だ。カナダ政府は、国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)パリ協定を締結するに際し、2030年までに温室効果ガスを05年に比べ、30%削減する目標を立てている。
また、カナダのケベック州議会は10月末、ゼロエミッション車(ZEV)関連の基準法案を全会一致で採択した。ZEV基準は、軽量車両の新車販売やリース台数が、年間ベースで4,500台以上の企業が対象になるという。ケベック州は、2020年までに、コンセントから差込みプラグを用いて直接バッテリーに充当するプラグイン自動車の登録台数を20万台とする目標を掲げている。
一方、シンガポールのウッドフィブレLNGは11月4日、親会社のパシフィック・オイル&ガス(POG)が、カナダのブリティッシュ・コロンビア(BC)州で計画する液化天然ガス(LNG)基地建設で最終投資決定(FID)を下したと発表した。LNG出荷能力は年間ベースで210万トンとされ、BC州スコーミッシュ近郊のパルプ工場の跡地に建設する予定だ。2017年の着工、2020年の稼働を目指す。
このほか、インターオイル・コープは11月初旬、米エクソンモービルによるインターオイルの買収(総額25億ドル)について、カナダのユーコン準州の最高裁判所が(買収を)許可しなかったと発表した。結果的に、この買収に反対の意を表明してきたフィル・ムラセック氏(インターオイルの創業者で、同社第2の株主)の主張が通ったことになった。インターオイルは、仏トタルがパプアニューギニアで天然ガスの掘削作業を展開するエルク-アンテロープ田の権益36.5%を保有している。