ナイジェリアのエネルギー事情について、本特集記事ではこれまで、製油所建設プロジェクトの動向や、(原油パイプラインなどからの)盗油問題を取り上げてきた。今回は、現地から伝わる新たな情報を追加した。
ナイジェリアの石油会社であるペトロレックス・グループは10月末、同国のオグン州オショグボ地域に製油所を建設するプロジェクトに関連し、同州政府や融資担当のWEMA銀行とコンソーシアム(複合企業体)を設立することに合意したと発表した。韓国の現代重工業、ナイジェリアの法律事務所も加わるという。一方、ペトロレックスは、このコンソーシアムがサブサハラ(サハラ砂漠以南のアフリカ地域)で最大規模となる石油ターミナルの建設も計画しているとした。
また、ナイジェリア政府はこのほど、原油・天然ガス事業でインドから総額150億ドルを受け取る契約に近く合意すると発表した。今年12月にも覚書(MOU)を締結する予定だ。今回の契約によって、インドのエネルギー関連企業が、ナイジェリアでの石油・天然ガス探査・生産、精製事業に参加する見通しだ。契約に際し、ナイジェリア政府はインド側に原油代金の前払いを求めているようだ。米エネルギー情報局(EIA)によると、2015年から16年にかけて、インドはナイジェリアから原油を2,370万トン、液化天然ガス(LNG)を200万トン輸入している。
このほか、ナイジェリア石油大手のNIPCOは、米エクソンモービルが保有するモービル・オイル・ナイジェリアの株式60%を取得することに合意した。NIPCOはすでに買収に向け、証券取引所や証券取引委員会に対し、各種手続きを進めているという。正式認可されれば、過去7年間でナイジェリアの石油下流部門における最大規模の買収となる。
ところで、ナイジェリアで頻発する盗油事件は大きな社会問題だ。ただ、ここにきて軍当局の摘発が目立ってきた。ナイジェリア海軍は10月19日、原油の窃盗犯28人を検挙したと発表。同日付のサイト『オール・アフリカ』などによると、同国の南部沿岸のアクワ・イボム州で違法に処理された原油を2隻のボートで運搬していた犯人を逮捕したという。また、隣国ベナンのコトヌー港に向かう数百缶の空のドラムを積載したボートを撃破したそうだ。